再生医療ベンチャー

再生医療ベンチャー#28 ヒューマンライフコード

更新日:

 

〇臍帯由来細胞を用いた再生医療の開発を行う企業

〇急性炎症性疾患に対する再生医療等製品の開発が主なパイプライン

〇米国企業と提携し、自動細胞分離・抽出機の医療機器承認申請と販売も展開

 

【会社情報】

会社名 ヒューマンライフコード株式会社
Human Life CORD Japan Inc.
所在地 東京都中央区日本橋堀留町1丁目9番10号 上野ビル5階
代表者 代表取締役社長 原田雅充
設立 2017年4月5日
上場 非上場

 

【会社概要】

臍帯などのヒト組織由来細胞を用いた細胞医薬の開発を行っています。主要パイプラインとしては、東京大学医科学研究所と共同して、急性炎症性疾患を対象とする臍帯由来間葉系細胞の再生医療等製品を開発中です。

また、臍帯のみでなく、臍帯血由来血管内皮前駆細胞を用いた老年性症候群に対する治療法の開発も進められています。

一方で、米国企業より導入した自動細胞分離・抽出機器の日本国内の医療機器承認やアジアへの販売も展開しています。

『TOKYO VENTURE CHAMPIONSHIP 2019 東京ベンチャー企業選手権大会』において、最優秀賞(東京都知事賞)を受賞する等、注目を集めているベンチャー企業です。

社名の由来:

健康を維持するために存在する細胞を、先天的もしくは老化や治療など後天的に、組織修復が必要となった患者へ“つなげ”(“コード”)、患者とその家族が1日でも長く心豊かに生活(“ヒューマンライフ”)できる社会を創出したい、そんな志を持ちヒューマンライフコード株式会社を設立いたしました。(出典:ヒューマンライフコード株式会社 ウェブサイト 『社長ごあいさつ』)

 

【企業理念/ミッション】

(出典:ヒューマンライフコード株式会社 ウェブサイト 『企業理念』)

 

【事業内容】

臍帯由来間葉系細胞

東京大学医科学研究所の長村登紀子 准教授のグループと共同して、臍帯由来間葉系細胞を用いた再生医療等製品の開発を進めています。

間葉系細胞(Mesenchymal Stromal Cell; 以下MSC)は、骨髄や脂肪組織等いくつかの生体組織に存在することが知られていますが、臍帯(いわゆるへその緒)から豊富なMSCが採取できることを、長村准教授のグループが国内で初めて報告しました。

(出典:日本医療研究開発機構 プレスリリース(平成30年7月17日))

この臍帯由来MSCを用いて、以下のパイプラインが開発中です。

(出典:ヒューマンライフコード株式会社 ウェブサイト 『事業内容』)

 

①急性移植片対宿主病(GVHD)治療製品

ヒューマンライフコード社のパイプラインの中で一番開発が進んでいるのが、急性移植片対宿主病(Graft-versus-host disease; GVHD)に対する治療薬です。

急性GVHDは、他家造血幹細胞移植治療(いわゆる骨髄移植)後に、移植片の宿主に対する免疫学的反応(移植した骨髄に含まれる免疫細胞が患者自身を攻撃)により起こる症状で、皮疹,黄疸,下痢などが起こります。標準治療としてステロイド療法がありますが、それが効かない難治症例が、日本国内で年間1,000~1,500人程度の患者に発症します。

2020年1月現在、東京大学医科学研究所付属病院で医師主導治験が進行中です。2020年12月をめどに、東京大学医科学研究所内に細胞製造・保管施設の開設が予定されており、そこで製造した細胞を用いて同社主導の企業治験を行い、2023年の再生医療等製品承認申請を目指す計画となっています。(参照元:日本経済新聞 2020年1月6日付 『へその緒で再生医療 ヒューマンライフコード、白血病向けに』)

急性GVHDの治療薬として、JCRファーマ社の骨髄由来MSCテムセル®が2015年に再生医療等製品として承認されています。テムセルが健常人の骨髄を細胞源としているのに対し、通常医療廃棄物として処理される臍帯を細胞源としていることからドナーの負担がなく、また低コストで製造できる点に優位性が見込めると期待されます。

②COVID-19/急性呼吸窮迫症候群(ARDS)

急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は、重症肺炎、敗血症や外傷などによって、炎症性細胞が活性化され、肺胞や毛細血管が傷害を受けることで重度の呼吸不全が引き起こされる疾患です。COVID-19が重症化することでARDSが起こり、COVID-19による主な死亡原因の一つとなっています。

同社の臍帯由来MSCを用いたCOVID-19治療開発が、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「新型コロナウィルス感染症(COVID-19) に対する治療薬開発」事業に採択されています。2020年内の第I相臨床試験の実施が計画されており、2020年7月20日に治験計画届書を提出しています。

③ その他疾患

アトピー性疾患,炎症性筋疾患,希少血液疾患について、基礎研究が進行中です。

 

臍帯血由来血管内皮前駆細胞/フレイル・サルコペニア

フレイルおよびサルコペニアは共に加齢による体の衰えのことで、サルコペニアが主に筋肉量の減少による身体機能の低下を指し、フレイルは体力的・精神的な衰弱をを総じて指します。 フレイル・サルコペニアへの適応を目指した臍帯血由来血管内皮前駆細胞の開発が、StemMed社と共同で進められています。また2019年9月より名古屋大学大学院医学研究科に産学協同研究講座を設置し、サルコペニアに対する基礎研究を推進しています。

 

自動細胞分離・抽出機器

TissueGenesis社(米国テキサス州ヒューストン)と提携し、自動細胞分離・抽出機ICELLATOR®の日本国内での医療機器承認申請およびアジア各国への販売を展開しています。

(出典:TissueGenesis社 ウェブサイト)

ICELLATOR®は脂肪組織より幹細胞を全自動で分離・抽出する装置で、現在、関西医科大学の楠本健司教授のグループと、本装置を用いて抽出した脂肪幹細胞による乳房再建術の共同研究が進められています。

 

※ヒューマンライフコード株式会社様の許可を得て、企業ロゴおよびウェブサイト画像を使用しています。

-再生医療ベンチャー
-, , ,

Copyright© 再生医療.net , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.