再生医療ベンチャー

再生医療ベンチャー#26 メトセラ

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〇心筋線維芽細胞を用いた心不全治療の開発

〇2020年度に臨床試験を計画

〇経済産業省J-Startup認定企業

会社名 株式会社メトセラ
Metcela Inc.
所在地 本社:山形県鶴岡市末広町5番22
リサーチセンター: 神奈川県川崎市川崎区殿町 3-25-22
          ライフイノベーションセンター #419
代表者 代表取締役 岩宮 貴紘
代表取締役 野上 健一
設立 2016年3月9日
上場 非上場

【会社概要】

心筋線維芽細胞移植による心不全治療法の研究・開発を行う慶應義塾大学発のバイオベンチャーです。心不全治療として、心筋細胞ではなく「心筋線維芽細胞」に着目し、心臓組織の治癒に効果のあるVCAM-1陽性心臓線維芽細胞を用いた心不全治療法の開発を行っています。

研究分野出身の岩宮氏と、経営や投資部門出身の野上氏の両者による共同代表として、経営が進められています。

同社は、経済産業省推進スタートアップ支援プログラムである「J-Startup」に認定されています。

社名は、旧約聖書に登場する最も長生きした人物である「メトシェラ」に由来しています。

【事業内容】

心筋線維芽細胞 VCF

心不全に対する再生医療では、再生医療等製品のハートシート(自家骨格筋細胞シート)や、iPS由来心筋細胞といった、筋細胞を使用した治療法が主でした。メトセラ社は心筋細胞ではなく、心筋繊維芽細胞による再生医療の開発を目指しています。

心筋線維芽細胞は心臓内の結合組織を構成する細胞で、ポンプ機能は持ちませんが、細胞外マトリックスや液性因子を分泌する役割を持ち、心臓の約半分を占めています。心臓肥大や心筋梗塞などの際には異常に増殖し、心臓のポンプとしての機能が失われる「線維症」の原因となることが知られており、これまでは心不全治療用としては注目されてきませんでした。

同社共同代表取締役の一人であり最高経営・技術責任者の岩宮氏は、東京女子医科大学大学院在籍時にこの心筋線維芽細胞に注目し、心臓中に様々な種類の線維芽細胞が存在し、その中から血管細胞接着分子VCAM-1 (Vascular Cell Adhesion Molecule-1)を発現するVCAM-1陽性心筋繊維芽細胞(VCF; VCAM-1-positive Cardiac Fibroblast)が、心筋細胞の増殖や移動を促進することを発見しました。

(引用:Iwamiya et. al “Cardiac fibroblast-derived VCAM-1 enhances cardiomyocyte proliferation for fabrication of bioengineered cardiac tissue” Regen Ther. 2016;4;92-102)

開発状況

メトセラ社はVCFの再生医療等製品としての開発を進めており、これまでにラットやブタを用いた動物試験で、VCFの心不全改善効果を確認しています。

2017年より筑波大学と基礎研究および臨床応用に関する共同研究を開始しており、また2018年からは、つくば臨床医学研究開発機構 (T-CReDO)と連携し、治療技術の確立や、有効性・安全性に関するデータの蓄積を進めています。これらの試験結果を基に、2020年度に臨床試験が計画されています。

 

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