販売名 | イエスカルタ®点滴静注 |
一般的名称 | アキシカブタゲン シロルユーセル |
製造販売者 | 第一三共株式会社 → 2023/6/22 ギリアド・サイエンシズ株式会社日本法人に承継 |
対象疾患 (承認日/保険収載日) | びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、 形質転換濾胞性リンパ腫、高悪性度B細胞リンパ腫 (2021年1月22日/2021年4月21日) |
保険償還価格 | 3264万7761円 (保険償還価格の算定) |
関連文書 | 添付文書 (第8版 2023年8月改訂) (PMDAウェブサイト) インタビューフォーム (第6版 2023年6月改訂) 承認情報、最適使用推進GL等(PMDAウェブサイト) |
【製品概要】
ギリアド社 医療関係者向け情報サイト/イエスカルタ
イエスカルタ®点滴静注(以下、イエスカルタ)は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を始めとするリンパ腫に対する再生医療等製品です。CD19を特異的に認識するキメラ抗原受容体(CAR)発現遺伝子を患者由来のT細胞に導入したCAR-T細胞と呼ばれる自家T細胞免疫治療製品です。米ギリアド社の子会社である米カイト社が開発し、日本での製造販売承認は第一三共社が取得しましたが、2023年6月にギリアド社日本法人に承継されています。
抗CD19のCAR-T細胞の再生医療等製品としてキムリアがありますが、イエスカルタでは対象疾患として「原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫」が含まれる一方で、キムリアが対象とする「急性リンパ芽球性白血病」が含まれず、対象疾患が若干異なっています。
製品名(販売名)の由来は、『Yes/NoのYESに、構成細胞であるCAR T細胞』です。
【対象疾患と作用メカニズム】
対象疾患
以下の再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫が対象となります。
ただし、CD19抗原を標的としたキメラ抗原受容体発現T細胞輸注療法の治療歴がない患者に限ります。
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 | B細胞のうち、大きな細胞核をもつB細胞がびまん性に(広範囲に広がっている状態)増殖して広がる悪性リンパ腫で、月単位での進行が見られ、中悪性度に分類されます。日本での悪性リンパ腫の3-4割を占めます。 |
原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫 | びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の約10%を占めるサブタイプのひとつであり、胸腺B細胞由来の進行が速い悪性リンパ腫です。 |
形質転換濾胞性リンパ腫 | 濾胞性リンパ腫はリンパ節内の濾胞(B細胞が集まっている箇所)に生じる進行の遅い低悪性度のリンパ腫ですが、濾胞性リンパ腫がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫へと形質転換を起こしたものが形質転換濾胞性リンパ腫です。 |
高悪性度B細胞リンパ腫 | 高侵襲性を示す大型B細胞からなる腫瘍のうち、生物学的もしくは臨床的にびまん性大細胞型B細胞リンパ腫やバーキットリンパ腫(腫瘤形成性の高悪性度のB細胞リンパ腫)に含めることのできない成熟B細胞リンパ腫です。 |
構造および作用メカニズム
イエスカルタはCAR-T技術を応用した抗がん細胞製品であり、抗CD19キメラ抗原受容体(Chimeric Antigen Receptor:CAR)を患者自身のT細胞に発現させた抗CD19 CAR T細胞です。
CARは、CD19認識部位(下図「ポイント1」)、CD28(T細胞共刺激受容体)の細胞外ドメインの一部、膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインの一部(下図「ポイント2」)、およびCD3ζ(T細胞共受容体)の細胞内ドメインの一部(下図「ポイント3」)から構成されます。
CD19認識部位がB細胞表面に発現するCD19を選択的に認識し結合すると、各ドメインを介してシグナルが伝達されることでCAR-T細胞が活性化します。活性化したCAR-T細胞は細胞傷害活性を発揮し対象細胞を攻撃するとともに、同時に自己増殖を起こすことで抗腫瘍活性を増強および持続することができます。
【製造および治療の流れ】
イエスカルタは患者自身のT細胞から製造されるため、まず白血球アフェレーシス(体外循環による分離)により患者のT細胞を採取します。
採取されたT細胞を冷蔵保存下で製造施設へと送り、ガンマレトロウイルスベクターを用いて上記のCAR遺伝子を導入します。このようにして製造されたCAR-T細胞を拡大培養し、凍結後、医療機関へ搬送し治療に使用します。
イエスカルタは日本国内の製造施設で製造されていますが、2023年6月にイエスカルタの日本国内の国内製造販売承認がギリアド社の日本法人に承継されたことに伴い、2023年前半からは米国カリフォルニア州のカイト社の製造施設においても日本国内向けの製造が開始されています。
【ブロックバスター】
イエスカルタは2022年度にCAR-Tでは初のブロックバスターとなりました。
ギリアド社の発表では、イエスカルタの2022年度のグローバルでの売り上げは11.6億ドルであり、2021年度の6.95億ドルから66.9増%と大幅な増加となっています。この要因として、再発性または難治性の大細胞型 B 細胞リンパ腫(R/R LBCL)の需要増や、またイエスカルタは他社のCAR-T製品と比較して製造日数が短いことがあるようです。