再生医療等製品

再生医療等製品#15 サクラシー

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販売名サクラシー®
一般的名称ヒト羊膜基質使用ヒト(自己)口腔粘膜由来上皮細胞シート
製造販売者ひろさきLI株式会社
対象疾患角膜上皮幹細胞疲弊症における眼表面の癒着
承認日/保険収載日2022年1月20日/2022年9月1日)
保険償還価格培養自己口腔粘膜上皮細胞シートパッケージ 7,940,000 円
口腔粘膜組織輸送セット 5,470,000 円
(保険償還価格の算定)
関連文書添付文書 (PMDAウェブサイト)
審査報告書 (PMDAウェブサイト)
申請資料概要 (PMDAウェブサイト)

 

【製品概要】

ひろさきLI株式会社 サクラシー

サクラシー®(以下、サクラシー)は、羊膜を基質とする自家口腔粘膜上皮細胞シートです。角膜上皮幹細胞疲弊症に伴う瞼球癒着や結膜嚢短縮といった眼表面の異常を修復することを目的に使用されます。
京都府立医科大学眼科学教室 木下茂名誉教授、外園千恵教授らによる臨床研究、先進医療B、医師主導第3相治験の成果を基にひろさきLI社が製造販売承認を取得しました。製造は神戸医療産業都市推進機構が担っています。

薬価は培養自己口腔粘膜上皮細胞シートパッケージとして794万円、口腔粘膜組織輸送セットとして547万円と設定されており、保険償還価格の算定における市場規模予測では、ピーク時(販売開始5年目)の使用患者数48人、販売金額5.4億円と予測されています。

製品名のサクラシーは、桜はひろさきLI社ゆかりの地である青森県弘前市(市の花:さくら)と開発の拠点である京都市に共通する象徴であり、患者さまの視力が改善し、サクラが観えるようにとの祈りを込めて命名されています。

 

【対象疾患】

対象疾患

サクラシーは角膜上皮幹細胞疲弊症における眼表面の癒着軽減を目的に使用されます。
角膜上皮幹細胞疲弊症は、角膜と結膜の境界にある角膜輪部に存在する角膜上皮幹細胞が先天的もしくは後天的に減少または消失する疾患です。新たな角膜上皮細胞を角膜に供給できず、その結果、周囲の結膜上皮が角膜上に侵入し角膜表面を覆うことで、角膜の透明性が失われ、視力の低下や眼痛などを生じます。発症の原因としては、熱傷や化学傷等の外部要因、スティーヴンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡等の内部要因があります。

角膜上皮幹細胞疲弊症の多くでは、結膜または結膜から角膜にかけて眼表面に癒着を伴うことがあります。眼表面の癒着を伴う角膜上皮幹細胞疲弊症患者に対し、癒着を解除し、結膜瘢痕組織を可能な限り除去した上でサクラシーを移植することで癒着が軽減され、治療用コンタクトレンズの装用による上皮障害の治療や、角膜実質混濁の強い症例では二期的な表層角膜移植などの治療が可能となります。

ネピック、オキュラルとの違い

角膜上皮幹細胞疲弊症を対象とする再生医療等製品として、J-Tec社のネピック(自己角膜上皮細胞シート) とオキュラル(自己口腔粘膜由来上皮細胞シート)があります。
ネピックは患者本陣に角膜輪部の細胞を使用するため片眼性の角膜上皮幹細胞疲弊症が対象となり、スティーヴンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡には適用されません。また、ネピック、オキュラルのいずれも角膜上皮再建が目的であり、癒着に対する効果は検証されていません。これらのことから、サクラシーは癒着を伴うより重症度の高い角膜上皮幹細胞疲弊症に有効な治療法として期待されています。(参照:ヒト羊膜基質使用ヒト(自己)口腔粘膜由来上皮細胞シート使用要件等基準)

 

【治療の流れ】

サクラシーによる治療では、まず患者自身の口腔粘膜組織(直径6mm、2-4箇所)が採取され、口腔粘膜組織輸送セットを用いて神戸医療産業都市推進機構の製造施設に輸送されます。
輸送された口腔粘膜組織は、製造施設において羊膜基質上にて2週間程度培養されシート化された後に医療機関に搬送されます。
医療機関において、角膜上皮幹細胞疲弊症患者の眼表面の癒着を解除した後にサクラシーを移植することで癒着の軽減を図ります。

口腔粘膜上皮細胞シートの製造と移植 (出典:ひろさきLI株式会社 サクラシー 治療スキームと移植後の管理)
サクラシーの構造 (出典:サクラシー 添付文書)
口腔粘膜組織輸送セットおよび培養自己口腔粘膜上皮細胞シートパッケージ (出典:ひろさきLI株式会社 サクラシー 製品構成と剤型)

 

【臨床成績】

2018年10月~2019年9月に、移植後24週における移植前からの癒着スコア変化量を主要評価項目として国内第3相医師主導治験を実施しています。

課題名難治性眼表面疾患患者における粘膜上皮供給を目的とした
培養自家口腔粘膜上皮シート移植の多施設共同単群第3相試験
対象重症のステムセル疲弊を伴う難治性眼表面疾患患者として、
原疾患がスティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡、熱・化学外傷であり、
かつ眼表面に高度癒着(癒着スコア≧4)を伴う者
対象患者数7例
主要評価項目移植後24週における移植前からの癒着スコアの変化量

試験結果

移植後24週において、移植前からの有意な癒着スコアの変化が見られ、有効性が確認されています。

第3相医師主導治験 主要評価項目の結果(出典:ひろさきLI株式会社 サクラシー 臨床試験成績)

 

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