〇骨格筋再生医薬の開発を行う大阪大学発のバイオベンチャー企業
〇「SVペプチド」と呼ばれる機能性ペプチドがコア技術
〇サルコペニア、口唇口蓋裂などを対象とするパイプラインの開発が進行中
【会社情報】
| 会社名 | 株式会社エリクサーファーマ Elixir Pharma, Inc. |
| 所在地 | 横浜市都筑区茅ヶ崎中央10-17 カスタネア303 |
| 代表者 | 代表取締役社長 前浜 隆広 |
| 設立 | 2020年8月19日 |
| 上場 | 非上場 |
【企業理念/ミッション】
【会社概要】
骨格筋再生医薬の開発を行う大阪大学発のバイオベンチャー企業です。大阪大学医学系研究科の濱田吉之輔 特任准教授(当時)らが発見した筋肉再生作用のある「SVペプチド」の医薬品としての開発を目的に設立されました。骨格筋の損傷、減少による疾患としてサルコペニア、便失禁、摂食嚥下障害、口唇口蓋裂などを対象として開発が進められています。社名の「エリクサー」は不老不死の薬を意味しており、主に高齢化に伴う疾患を対象とする同社の方針を象徴する社名となっています。
なお、本開発品は現在の薬機法での分類上は再生医療等製品ではありませんが、「生体の持つ自己再生能力を利用して、損傷した組織の機能を回復させる」という広義の意味での再生医療にあてはまるため、再生医療ベンチャーとして紹介します。
【事業内容】
筋肉再生医薬「SVペプチド」
エリクサーファーマ社のコア技術は「SVペプチド」と呼ばれる機能性ペプチドです。SVペプチドは骨代謝などに関わるサイトカインであるオステオポンチンの一部を切り出し、さらに有効性を高めるために一部を改変したものです。濱田特任准教授らがこのSVペプチドが細胞接着分子であるインテグリンに結合することを発見し、血管新生や心機能再生などの作用があることを見出しました。当初、濱田特任准教授らは心筋梗塞の治療への応用を目的に研究を進めていましたが、動物試験により心臓への投与法に課題があることが明らかとなりました。そこで、対象を骨格筋の再生として再生医薬の開発を目的に同社が設立されました。
パイプライン
サルコペニア
同社のパイプラインの中で最も開発が進んでいる対象疾患がサルコペニアです。サルコペニアは加齢や疾患などにより筋肉量が減少し筋力が低下した状態のことです。いわゆる年齢による筋力の衰えのことですが、2016年に国際疾病分類に登録されたことから、疾患として位置づけられています。国内の65歳以上の高齢者では男性約132万人、女性139万人がサルコペニアであるとされています。
サルコペニア患者の大腿やふくらはぎの筋肉にSVペプチドを注射することにより筋肉の再生を促し、運動能力を回復されることでQOLの向上を目指します。
口唇口蓋裂
口唇口蓋裂は生まれつき唇や口蓋(鼻と口を分けるフタの部分)に裂け目が生じている疾患です。日本では500人に1人程度に発症します。現在では外科手術による治療法が確立されており、状態にもよりますが通常1歳前後で縫合手術を行い、多くの場合小学生になる頃にはほぼ目立たない状態とすることができます。この縫合手術の際に断裂した筋肉部位にSVペプチドを注入することで筋肉の再生を促進させることを目指しています。
このほかにも摂食嚥下障害や便失禁といった主に加齢による筋力低下に伴う疾患に対しての開発も進められています。
協業事業モデル
SVペプチドを用いた再生医薬の研究開発は、大阪大学、国立長寿医療研究センターをはじめとする複数の機関との共同研究・提携により進められています。
設立当初から共同研究を行っている大阪大学歯学研究科・医学系研究科に加え、高齢化に伴う疾患についての国内有数の研究機関である国立長寿医療研究センターとも共同研究を行うことで、同社の主なパイプラインであるサルコペニアなどの治療開発を進めています。
医薬品開発業務受託機関(CRO)である株式会社エスアールディ(SRD)とは協働研究開発部門を設立し、SRDの医薬品開発専門人材が開発に参画しています。研究・支援サービスを提供する株式会社LSIメディエンス(LSIM)はLSIMの『バイオベンチャー支援事業』の第1号パートナーとして提携し、非臨床試験を始めとする各種研究のサポートを受けています。大杉バイオファーマ・コンサルティング株式会社(OBPC)からはCMCの面でのコンサルティングを受けています。