再生医療ベンチャー

再生医療ベンチャー#4 セルシード

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〇温度応答性ポリマーを用いた細胞シート作製技術がコア技術

〇食道再生上皮シート、軟骨再生シートの2つのパイプラインを開発中

〇世界展開の第一歩として、台湾企業と事業提携

会社名 株式会社セルシード
CellSeed Inc.
所在地 東京都江東区青海2-5-10 テレコムセンタービル15F
代表者 代表取締役社長 橋本せつ子
設立 2001年5月9日
上場 2010年3月16日 JASDAQ (7776)

【会社概要】

温度応答性ポリマーを利用し、非酵素処理的に細胞シートを回収できる培養皿を製造・販売するとともに、その細胞シート作製技術を活かして、食道再生上皮シート,軟骨再生シートの2つの再生医療等製品を開発中です。

2010年にJASDAQに上場を果たしています。

【事業内容】

コア技術:温度応答性ポリマー

培養細胞を培養皿から回収する場合、通常はタンパク質分解酵素処理することで細胞を培養皿から剥がしています。しかし細胞シートでは、酵素処理によりシート中の細胞同士の結合にも影響を与えてしまうことが問題となっていました。

そこで東京女子医科大学の岡野光夫教授は、「温度応答性ポリマー」に注目し、従来細胞回収時に必要とされている酵素処理を行うことなく、温度制御のみで細胞を回収できる培養皿を開発しました。

特定の分子構造を持つポリマーは、ある温度を境に可逆的に疎水性から親水性(もしくはその逆)に相転移を起こします。このような性質を持つポリマーを温度応答性ポリマーと呼びます。このような温度応答性ポリマーの一つであるポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(PIPAAm)は、32℃を境にそれより高温下では疎水性、低温下では親水性を示します。

細胞は疎水表面に付着しやすく、親水性表面には付着しにくいという性質があります。そこで、細胞をこのPIPAAmで表面処理した培養皿上で37℃で培養し、その後32℃未満に温度を下げることで、培養皿表面が疎水性から親水性へと変化し、細胞の付着性が弱まり細胞が培養皿表面から剥がれ、回収することができます。

この技術により、細胞シートに傷害を与えることなく回収することが可能になりました。これが温度応答性ポリマーを用いた細胞シート作製技術です。

温度応答性細胞培養器材

上記の温度応答性ポリマー処理培養皿を製品化したものが、同社のUpCell®です。電子線を利用してPIPAAmをナノメートルレベルで精密に培養皿の表面に固定化することで、安定した細胞培養,シート剥離が提供されます。

またこの温度応答性細胞培養器材は、テルモ株式会社の再生医療等製品であるハートシートの製造用に、特別仕様品として提供されています。

このほかに、細胞シートより小さな単位(単細胞,コロニー等)用のRepCell™も開発されています。

細胞シート再生医療

この細胞シート作製技術を利用して、現在、食道再生上皮シート、軟骨再生シートの2つのパイプラインの開発が進められています。

①食道再生上皮シート

患者自身の口腔粘膜より採取した細胞から作製した細胞シートで、食道がんの内視鏡切除手術後に患部に貼ることで、炎症反応と食道狭窄を抑制,防止します。

もともと東京女子医科大学で開発が進められ、2008~2014年に東京女子医科大学、長崎大学、カロリンスカ大学病院で臨床試験が行われ、良好な結果が得られました。

その後セルシード社が開発を受け継ぎ、再生医療等製品としての承認申請を目的に2016年より治験が行われていました。

ところが、2019年2月に発表された結果によると、安全性には問題はなかったものの、主要評価項目である狭窄予防効果については優位性が証明できませんでした。承認のためには追加の試験が必要となり、2022年の申請を目指し追加治験を計画中とのことです。

②軟骨再生シート

東海大学医学部の佐藤正人教授と共同して、膝の軟骨シートの開発を進めています。細胞として、患者自身の軟骨組織から採取した細胞(自己細胞)を使う方法と、多指症手術において切除した組織から採取した細胞(同種細胞)を使う方法の開発が進められています。

自己細胞軟骨シートについては、東海大学病院ですでに臨床試験を終了し、2019年1月に厚生労働省より先進医療として承認されました。今後、東海大学病院でこの治療が開始されれば、軟骨シートの製造を同社が受託します。

同種細胞軟骨シートについては、同じく東海大病院において2017年2月に世界初となる移植が行われ、2020年3月までに10例の臨床試験を完了させる計画となっています。

その後、同社に技術移管し、新たに細胞バンクを構築や細胞シート製造の自動化を行い、2021年に企業治験を開始する計画となっています。

この2つに続き、3つ目の細胞シート開発品として、東京医科歯科大学と共同で同種歯根膜由来間葉系幹細胞シートの開発が計画されています。

これは重度の死守組織欠損を有する歯周炎患者を対象とするもので、健常人ドナーから採取された歯根膜間葉系幹細胞で作製したシートを用いて治療を試みる方法です。

東京医科歯科大学ではすでに医師主導治験が実施されており、治験および製造販売承認申請を目的として、現在協議が進められています(2019年9月現在)

細胞培養センター

オフィスと同じ建物内に細胞培養センターを有しています。同社の細胞培養センターは、2017年3月に特定細胞加工物製造許可(施設番号:FA3160008)、2018年10月に再生医療等製品製造業許可(許可番号:13FZ110001)を取得しています。

この細胞培養センターを用いて、主に大学での臨床試験や医師主導治験を対象とした再生医療受託サービスも行っています。

海外展開

2017年に台湾の企業である三顧股份有限公司(MetaTech Inc., 以下MetaTech社)と、台湾における細胞シート再生医療事業の独占的な開発・製造・販売権に関する事業提携を結んでいます。この提携により、セルシード社はMetaTech社よりマイルストーンとして最大で12億5000万円を受領予定であり、細胞シート製品上市時には、売り上げに応じたロイヤリティを受け取るとのことです。

また、ヨーロッパにおける細胞シート製品の開発拠点として、2015年にセルシード スウェーデン株式会社を設立し、カロリンスカ大学病院と食道上皮再生シートの臨床研究を進めていますが、欧州医薬品庁から求められる治験が想定より大規模であるため、今後については検討中とのことです(2019年9月現在)。

 

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