再生医療ベンチャー

再生医療ベンチャー#80 リバーセル

更新日:

〇iPS細胞由来キラーT細胞療法の開発を行う京都大学発ベンチャー企業

〇急性骨髄性白血病、ウイルス感染症を対象としたiPS細胞由来TCR-T細胞を開発中

〇ノイルイミューン社、日立製作所などと共同開発を実施中

 

【会社情報】

会社名リバーセル株式会社
Rebirthel Co., Ltd.
所在地京都市上京区河原町通今出川下ル梶井町448−5
クリエイションコア御車 311号
代表者代表取締役 梶川益紀
設立2019年10月1日
上場非上場

 

【企業理念/ミッション】

 

【会社概要】

iPS細胞由来キラーT細胞を用いた免疫療法開発を行う京都大学発のベンチャー企業です。京都大学医生物学研究所の河本宏教授 (同社創業者/最高技術顧問)が開発したiPS細胞からのキラーT細胞誘導技術を基に「超汎用性即納型T細胞」の実用化を目的にレグセル株式会社から分社・独立する形で設立されました。
がんや感染症を対象とする他家iPS細胞由来TCR-T細胞療法の開発を行っており、急性骨髄性白血病(AML)やウイルス感染症を対象にした臨床試験が計画されています。
商業化に向けた開発としてiPS由来キラーT細胞の自動培養について日立製作所と共同開発が進められており、また固形がんに対する次世代の免疫療法の開発をノイルイミューン社などと提携して進めています。

社名は『再生』と『細胞』を意味する“Rebirth (リバース)”と“Cell (セル)”に由来します。またロゴマークは幹細胞の「自己複製と分化」が表現されており、左側の灰色の丸は幹細胞の自己複製、右側の緑と青の丸はT細胞への分化をイメージしています。

 

【事業内容】

iPS細胞由来TCR/CAR-T細胞

リバーセル社の基盤技術は、iPS細胞への免疫受容体(T細胞受容体(TCR)やキメラ抗原受容体(CAR))の導入技術、およびiPS細胞からキラーT細胞への分化誘導技術です。

iPS由来TCR-T細胞作製法(出典:リバーセル株式会社ウェブサイト 特許技術)

TCRはT細胞表面上に発現する受容体であり、抗体のようにTCRごとに異なる抗原を認識します。対象となる抗原と結合するとT細胞内にシグナルが伝達され、T細胞が活性化されます。そこでがん細胞抗原やウイルス抗原などを特異的に認識するTCR遺伝子を導入したiPS細胞を作製し、そのiPS細胞からキラーT細胞へ分化誘導することで、標的抗原を認識するキラーT細胞を大量に作製することができます。
iPS細胞へのTCR遺伝子導入法については、TCR遺伝子を本来のTCR遺伝子座に挿入する方法を河本教授らが開発し特許を取得しており、リバーセル社は独占的実施権を有しています。

iPS細胞からキラーT細胞への分化誘導法も同様に河本教授の研究室で開発された方法です。iPS細胞をOP9細胞(マウス由来ストローマ細胞株)と共培養、さらにCD3抗体による刺激をすることで成熟したキラーT細胞へ分化誘導することができます(Raul et al., 2019) (理化学研究所プレスリリース)。TCR遺伝子を導入したiPS細胞からT細胞を作製する方法についても河本教授らが特許を取得しており、リバーセル社は独占的実施権を有しています。

これらの方法により作製されたiPS細胞由来キラーT細胞は患者にとっては他家細胞となるため、移植後に免疫拒絶反応が懸念されます。そこで同社では京都大学iPS細胞研究財団(CiRAF)が提供しているHLAホモiPS細胞を利用することで免疫拒絶反応の抑制を図っています。さらに免疫拒絶を抑えるために、HLAノックアウトiPS細胞の作製や、HLAノックアウト細胞を攻撃するNK細胞を抑制する技術の開発も進められています。

同社では、これらの技術により製造されたiPS細胞由来キラーT細胞を凍結保存し、必要な時にすぐに治療に用いることのできる「超汎用性即納型T細胞」としての実用化を目指しています。

 

開発パイプライン

急性骨髄性白血病(AML)

同社ではAMLを対象としたiPS細胞由来WT1抗原TCR-T細胞の開発を進めています。WT1は白血病をはじめ固形がんを含めた多くのがん細胞に発現している抗原であり、腫瘍マーカーとして診断に利用されています。AMLを対象とした臨床試験が京都大学附属病院にて2025年から計画されています。

白血病および固形がんでのWT1発現 (出典:リバーセル株式会社会社案内ビデオ(Youtube動画))

 

ウイルス感染症

同社では、ウイルス抗原特異的TCRを導入したiPS細胞由来キラーT細胞を用いたウイルス感染症に対する治療開発も行っています。
現在、藤田医科大学および京都大学と共同でサイトメガロウイルス感染症や難治性コロナウイルス感染症を対象とした治療法の開発を進めており、2028年の臨床試験開始が予定されています。

 

提携機関/企業

同社は上記のパイプライン以外にも、固形がんに対するCAR-T細胞療法の開発を行うノイルイミュ―社と次世代型の遺伝子改変免疫細胞療法に関する共同研究および事業化、H.U.グループ中央研究所と次世代開発に向けた共同開発を行っています。
商業化に向けた細胞製造の開発においては、京都大学および日立製作所と細胞自動培養装置を用いたiPS細胞由来キラーT細胞の大量製造の共同開発を行っています。
またiPS細胞由来CAR/TCR-T細胞作製技術について、大塚製薬に複数の治療分野における全世界を対象にした独占的な権利をライセンスアウトしています。

 

※リバーセル株式会社様の許可を得て、企業ロゴおよびウェブサイト画像を使用しています。

 

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