再生医療等製品

再生医療等製品#17 カービクティ

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販売名カービクティ®点滴静注
一般的名称シルタカブタゲン オートルユーセル
製造販売者ヤンセンファーマ株式会社
対象疾患  再発又は難治性の多発性骨髄腫。ただし、以下のいずれも満たす場合に限る。
・BCMA抗原を標的としたキメラ抗原受容体発現T細胞輸注療法の治療歴がない
・免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤及び抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む
3つ以上の前治療歴を有し、かつ、直近の前治療に対して奏効が得られなかった
又は治療後に再発した
承認日/保険収載日2022年9月26日/ (未定)
保険償還価格(審議中)
関連文書添付文書 (PMDAウェブサイト)
審査報告書 (PMDAウェブサイト)
申請資料概要 (PMDAウェブサイト)

 

【製品概要】

ヤンセンファーマ株式会社 カービクティ 製品関連情報

カービクティ®点滴静注(以下、カービクティ)は、再発または難治性の多発性骨髄腫を対象とする再生医療等製品です。中国企業であるLegend Biotech社の開発品(開発コード:LCAR-B38M)が米Johnson & Johnsonの製薬部門であるJanssen Biotech社との共同開発により製品化されたもので、海外では、米国 、欧州 を含む世界 37か国で承認されています(2023年2月時点) 。日本での製造販売承認はヤンセンファーマ株式会社が取得しています。

日本でのCAR-T製品としてはキムリアイエスカルタブレヤンジ、アベクマに続く5品目の承認となり、BCMA抗原を標的とする多発性骨髄腫を対象とするCAR-T製品としてはアベクマに続く2品目めとなります。
国際共同第Ib/II相臨床試験では、全奏効率(部分奏功以上の割合)が96.9%と高い効果が見られています。

2023年11月時点では、薬価については審議中です。

製品名は”CAR-T + Victory (勝利、克服)”に由来しています。

 

【対象疾患と作用メカニズム】

対象疾患

再発又は難治性の多発性骨髄腫が対象です。多発性骨髄腫は⾎液細胞の⼀種である形質細胞ががん化することによって起こる血液がんです。リンパ球のひとつであるB細胞は異物を認識すると形質細胞へと変化し、抗体を産生することで免疫反応を起こし、異物から体を守ります。この形質細胞ががん化し、骨髄中で無秩序に増殖した結果、異常抗体(Mタンパク)の蓄積による免疫力の低下や腎不全、造血機能の低下による貧血、骨の代謝バランスの崩壊による骨破壊、高カルシウム血症などが起こります。

多発性骨髄腫 (出典:国立がん研究センター 多発性骨髄腫の病気について)

多発性骨髄腫の標準治療では、下表のような様々な対応の薬剤を併用する薬物療法を行います。これらの治療の結果、効果が見られなかったもしくは再発した、「免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤、抗CD38モノクローナル抗体を含む3つ以上の前治療歴を有する再発又は難治性の多発性骨髄腫」がカービクティの対象となります。

多発性骨髄腫 (出典:国立がん研究センター 多発性骨髄腫の治療について)

構造および作用メカニズム

カービクティ CARの構造 (出典:カービクティ インタビューフォーム)

カービクティはCAR-T技術を応用した抗がん細胞製品であり、抗BCMAキメラ抗原受容体(Chimeric Antigen Receptor:CAR)を患者自身のT細胞に発現させた抗BCMA CAR T細胞です。

BCMA(B細胞成熟抗原; Bcell maturation antigen)は多発性骨髄腫患者の形質細胞や骨髄腫細胞には発現していますが、正常非造血組織には発現が見られない抗原です。抗原認識部位でBCMAを選択的に認識し結合すると、各ドメインを介してシグナルが伝達されることでCAR-T細胞が活性化します。活性化したCAR-T細胞はBCMA発現細胞に対して細胞傷害活性を発揮するとともに、同時に自己増殖を起こすことで抗腫瘍活性を増強および持続することができます。

 

【製造および治療の流れ】

治療の流れ (出典:CARVYKTI® website RECEIVING CARVICTI®)
※原文をGoogle翻訳により翻訳

カービクティは患者自身のT細胞から製造されるため、まず白血球アフェレーシス(体外循環による分離)により患者のT細胞を採取します。採取されたT細胞は細胞製造施設に送られ、CAR遺伝子の導入等の加工が行われた後に、-120℃以下の凍結状態で医療機関に送られ投与されます。アフェレーシスから投与までの期間は平均して4~5週間です。

 

【臨床成績】

カービクティは日本からの参加も含む国際共同第Ib/II相試験の結果を基に申請が行われました。主要評価項目である全奏効率(ORR; 部分奏効率以上の割合)は96.9%(日本人では100%)、その内厳格な完全奏功率は67.0%(日本人では25%)でした。

国際共同第Ib/Ⅱ相試験 (MMY2001 試験(CARTITUDE 1試験)

試験デザイン第Ib/II相、多施設、国際共同、非盲検、単群(非対照)
対象再発及び難治性の多発性骨髄腫患者
実施国第Ib/II相(米国)、第II相(日本)
対象患者数第Ib相パート:外国人29例
第II相パート:外国人68例、日本人9例
主要評価項目第Ib相パート: 有害事象の発現割合及び重症度
第II相パート: 全奏効割合 (ORR): 国際骨髄腫ワーキンググループ
多発性骨髄腫の効果判定基準で部分奏功以上を達成した患者の割合

試験結果

有効性評価ORR: 96.9% (厳格な完全奏功率(CRR): 67.0%)
(日本人 ORR: 100%, CRR: 25.0%)

 

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