再生医療ベンチャー

再生医療ベンチャー#63 ノイルイミューン・バイオテック

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〇Prime CAR-T細胞による固形がんの治療法の開発を行う山口大学および国立がん研究センター発ベンチャー

〇武田薬品工業と提携し、臨床試験に向けて共同開発が進行中

〇海外製薬企業との提携や、澁谷工業と自動細胞製造システムの開発も行っている

 

【会社情報】

会社名 ノイルイミューン・バイオテック株式会社
Noile-Immune Biotech Inc.
所在地 東京都港区芝大門二丁目12-10 T&G浜松町ビル 5F
代表者 代表取締役社長 玉田 耕治
設立 2015年4月16日
上場 非上場 

【会社概要】

Prime CAR-Tと名付けられた新規プラットフォームCAR-T細胞による固形がん治療の開発を行う、山口大学および国立がん研究センター発ベンチャーです。山口大学大学院医学系研究科・免疫学講座の玉田耕治教授らが開発した技術が基となっています。武田薬品工業と共同研究およびライセンス契約を結び、臨床試験へ向けての開発が進められています。また、海外製薬企業と技術提携も行われています。

社名は「がんという病を根絶させたい」という意味を込めた” No illness”と、「免疫なくして生命は成り立たず」という意味の”No immunity, No life”が由来となっています。

(出典:ノイルイミューン・バイオテック株式会社ウェブサイト 企業理念)

【事業内容】

コア技術:Prime CAR-T細胞

キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR-T細胞)によるがん免疫治療は、日本でもノバルティスファーマ社のキムリアが再生医療等製品として承認されています。CAR-T細胞療法は、白血病等の血液がんに対して高い治療効果を発揮する一方で、固形がんに対しては効果が得られていないことが課題となっていました。 固形がんに対して治療効果を得るためには、腫瘍部でのCAR-T細胞の集積と増殖が重要となります。そこで玉田耕治教授(ノイルイミューン者 取締役CSMO)らは、T細胞の生存や増殖を刺激するサイトカインであるIL-7とT細胞や樹状細胞の遊走を刺激するケモカインであるCCL19を産生する『Prime CAR-T細胞(Proliferation-inducing and migration-enhancing CAR-T細胞)』を開発しました(Adachi et al. Nat. Biotech, 36;346-351 (2018))。

Prime CAR-Tの治療効果メカニズム (出典:山口大学/日本医療研究開発機構(AMED) 2018年3月6日付プレスリリース)

Prime CAR-T細胞は、がん細胞表面抗原と結合し自分自身が活性化・増殖するのに加えて、産生するIL-7とCCL19の作用により患者自身のT細胞や樹状細胞を呼び寄せ、腫瘍中に集積・増殖させることができます。がん細胞を移植したマウスを用いた動物試験では、従来のCAR-T細胞と比較して大幅に高い治療効果が得られています。

マウスを用いた動物試験結果 (出典:山口大学/日本医療研究開発機構(AMED) 2018年3月6日付プレスリリース)

開発状況

(出典:ノイルイミューン・バイオテック株式会社 ウェブサイト 開発パイプライン)

現在、6つのパイプラインの開発が進められています。このうちNIB-102と103については、武田薬品工業社と独占的ライセンス契約が締結され、臨床試験に向けて共同開発が進められています。

製薬企業との提携

武田薬品工業社のほか、TCR-T細胞療法の開発を行う米/英Adaptimmune Therapeutics社と提携し、Prime技術を組み合わせた新規TCR-T細胞の共同開発が進められています。また、英Autolus Therapeutics社とPrime技術についてのライセンス契約を締結しています。

また、澁谷工業社と共同で自動臨床用細胞製造システムの開発を進めています。

 

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