〇毛髪再生医療と次世代インプラントの研究開発と事業化を行うベンチャー企業
〇前身であるオーガンテクノロジーズ社から社名を変更して事業再開
〇毛髪再生について2024年に臨床試験を計画
【会社情報】
| 会社名 | 株式会社オーガンテック OrganTech, Inc. |
| 所在地 | 東京都中央区八重洲2-1-1YANMAR TOKYO 12階 |
| 代表者 | 代表取締役 小川美帆 代表取締役 近藤嵩 |
| 設立 | 2023年1月1日 (旧社名 株式会社オーガンテクノロジーズからの変更) |
| 上場 | 非上場 |
【企業理念】
【会社概要】
毛髪再生医療と次世代インプラントの研究開発と事業化を行うベンチャー企業です。2020年に事業停止したオーガンテクノロジーズ社から社名を変更しての事業再開となります。
理化学研究所の辻孝・器官誘導研究チームリーダーらの開発した器官再生技術を基に、生体外で人工的に作製した器官とまるごと置き換える「臓器置換再生医療」の実用化を目指しており、毛包器官原基移植による毛髪再生医療、および歯根膜を結合した次世代歯科インプラントの開発が進められています。毛髪再生については2024年前半に臨床試験が計画されています。
【事業内容】
毛髪再生医療
男性型脱毛症(AGA）などの脱毛症は生命に関わるような疾患ではありませんが、外見上の印象に与える影響が大きく生活の質(QOL)に大きく関わります。男性型脱毛症患者は、日本国内だけでも1800万人いるとされています。
従来の毛髪移植では、患者自身の毛髪を採取し別の箇所に移し替える治療法であるため、毛髪の総数自体は変わりません。そこで理化学研究所の辻孝・器官誘導研究チームリーダーらは、毛包より採取した毛包上皮性幹細胞と毛乳頭細胞から毛包のタネである毛包器官原基を作製する技術を開発しました。毛包上皮性幹細胞と毛乳頭細胞を生体外で培養することで、1本の毛包を50-100倍に増やすことが可能です。マウスを用いた動物実験において、作製した毛包器官原基を移植することで毛髪が発生することが実証されています。
オーガンテック社はこの毛包器官原基移植による毛髪再生医療の実用化を目指しており、2024年に臨床試験を計画しています。
次世代歯科インプラントの開発
同社のもう一つのコア事業が歯科領域での再生医療です。歯そのものの再生については、動物実験において胎児期のマウスより採取した歯の器官原基から作製した歯胚を移植することで歯が再生されることを実証していますが、成体ではこのような歯胚を作製できる幹細胞は見つかっておらず、ヒトでの臨床応用に向けては課題が多く残されています。そこでオーガンテック社では天然歯に近い機能を持つ次世代インプラントの開発と実用化を進めています。
現行のインプラントでは歯槽骨に直接金属製の人工歯根(インプラント)を埋入しますが、天然の歯と違い歯根膜がないため、生理的な歯の移動ができない、骨との結合が不十分、細菌感染や破損が起こりうる等の問題があります。そこで、理研の辻リーダーらと同社は、インプラント表面にセメント質を介して歯根膜を結合させ、天然歯と同様の構造を持たせた次世代インプラントを開発しています。
本技術は日本歯科医学会の「2040 年への歯科イノベーションロードマップ」にも掲載されています。まずは虫歯、歯の破折など抜歯後の歯根膜が残存している患者を対象として、2025年に特定臨床研究の実施、2026-2027年の社会実装を目指して開発が進められています。
【事業再開について】
同社の前身である株式会社オーガンテクノロジーズは、毛包器官原基移植による毛髪再生医療の実用化に向けた開発を行っており、ヒトでの臨床試験の実施に向けて特定認定再生医療等委員会の承認を取得するまで至っていましたが、コロナ禍の影響もあり必要な資金調達が行えず、2020年10月に事業停止となりました。本事業停止においては、辻氏が負債を肩代わりすることで私的整理とし、特許の散逸を防ぎました。
私的整理を終えた段階で再度本技術の実用化を目指して、学生時代に辻氏の研究室で、さらに卒業後もオーガンテクノロジーズ社で研究を担当していた小川美帆氏と、コンサルティングファーム出身で経営、ファイナンスの知見をもつ近藤崇氏を共同代表として、社名を株式会社オーガンテックに変更し事業再開となりました。事業再開後は小林製薬からの出資を受け、毛髪再生医療と次世代インプラントの研究開発と事業化に向けて事業が進められています。
※株式会社オーガンテック様の許可を得て、企業ロゴおよびウェブサイト画像を使用しています。