再生医療ベンチャー

再生医療ベンチャー#57 カノンキュア

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〇間葉系幹細胞から誘導した肝細胞シートによる、肝線維症に対する再生医療の開発

〇鳥取大学医学部の汐田剛史教授らの肝細胞誘導方法が基盤技術

〇生体内で肝細胞を誘導する再生医薬の開発も行っている

 

【会社情報】

会社名 カノンキュア株式会社
KanonCure Inc.
所在地 鳥取県米子市西町86番地 鳥取大学医学部アレスコ棟604号室
代表者 代表取締役社長 堀川武晴
設立 2016年4月25日
上場 非上場

 

【会社概要】

間葉系幹細胞から誘導した肝細胞シートを用いて、肝疾患の再生医療の開発を行う鳥取大学発のベンチャーです。鳥取大学大学院医学系研究科の汐田剛史教授らの、低分子化合物による肝細胞誘導技術、および肝細胞シート作成技術をもとに設立されました。2020年度の治験開始を目標に、準備が進められています。また、低分子化合物を用いた肝疾患に対する再生医薬の開発も進めています。

【事業内容】

肝細胞シートによる肝疾患治療

①間葉系幹細胞からの肝細胞誘導

(出典:カノンキュア株式会社 ウェブサイト)

カノンキュア社の基盤技術は、汐田教授らが開発した間葉系幹細胞からの低分子化合物による肝細胞誘導、およびそのシート化技術です。

間葉系幹細胞は、通常骨や軟骨、脂肪といった細胞に分化しますが、汐田教授らは、Wnt/β-Cateninシグナルを抑制することで間葉系幹細胞が肝細胞に分化することを発見しました。さらに、このシグナルを抑制する低分子化合物としてIC-2を見出し、これを加えて培養することで、肝細胞が誘導できることを報告しています(Itaba et al. Scientific Reports, 9:6841 (2019))。

さらに、この誘導培養をセルシード社が提供する温度応答性培養皿上で行うことで、肝細胞シートを作製しています。

②肝線維症治療法の開発

このように作製した肝細胞シートを用いて、肝線維症を対象とした治療法の開発が進められています。

(1) 肝線維症

肝線維症は、肝臓にコラーゲン線維等が蓄積することで肝臓が線維化する症状です。肝臓は唯一再生する臓器であり、B型, C型肝炎ウイルスや過度の飲酒により傷害を受けた場合、再生が起こります。肝臓は肝機能を担う肝実質細胞と、それを助ける肝非実質細胞から構成されており、肝臓の再生時には肝非実質細胞である星細胞が活性化し、コラーゲン等の細胞外マトリックスが分泌され、それを足場として肝実質細胞が増殖することで肝臓が再生されます。

通常、肝実質細胞はマトリックス分解酵素(MMP; Matrix metalloproteinase)を合成し、これらの細胞外マトリックスを分解することでバランスをとっています。しかしながら、肝臓が傷害を受けることでこのバランスが壊され、再生時に生成された細胞外マトリックスの蓄積が起こります。この傷害/再生を繰り返すことで細胞外マトリックスの蓄積が進み、徐々に肝実質細胞と置き換わることで線維化が進行します。肝線維症の段階では顕著な症状は現れませんが、さらに線維化が続き肝硬変へと進行すると、致命的な肝機能障害が起こります。

(2) 肝細胞シートによる肝線維症治療

汐田教授らのグループは、作製した肝細胞シートを3層に重ね、肝線維症モデルマウスの肝臓への移植を行いました。その結果、肝細胞シートが分泌するMMP-1およびMMP-14やチオレドキシン(星細胞の活性化を抑制する因子)などの働きにより、肝臓中のコラーゲン線維が1週間で約40%減少し、肝線維症が改善されることが示されました(Itaba et al. Scientific Report, 9:6841 (2019))。

(3) 臨床開発

現在、自家骨髄由来MSCから誘導した肝細胞シートによる、肝硬変を対象とした企業治験の準備が進められており、2020年度に開始する計画となっています。(参照元:日本経済新聞2019年8月12日付『細胞シート貼って肝硬変の症状軽減』)。

低分子化合物による肝疾患治療

カノンキュア社では、間葉系幹細胞からの肝細胞誘導技術を応用して、生体内の内在性間葉系幹細胞に働きかける肝疾患治療薬の開発を進めています。

(出典:鳥取大学医学部遺伝子医療学ホームページ)

肝障害時には、骨髄由来の肝細胞が遊走し、肝臓の再生に関わることが知られています。そこで、IC-2のような間葉系細胞から肝細胞を誘導する効果のある低分子化合物を用いることで、体内で内在性の間葉系幹細胞を分化・活性化させ、肝疾患を治療するというコンセプトの再生医薬の開発を進めています。

 

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