再生医療ベンチャー

再生医療ベンチャー#52 Jiksak Bioengineering

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〇神経組織の「軸索」を生体外で再現した”Nerve Organoid”(人工神経組織)を開発・提供

〇Nerve Organoid は、ALSの病態研究や創薬ツールとして利用される

〇神経筋接合部に注目した創薬事業も展開

会社名 株式会社Jiksak Bioengineering
Jiksak Bioengineering Inc.
所在地 神奈川県川崎市幸区新川崎7-7 AIRBIC A24号室
代表者 代表取締役 川田 治良
設立 2017年2月7日
上場 非上場

【会社概要】

神経組織の「軸索」を生体外で再現した”Nerve Organoid”(人工神経組織)を開発・提供する、東京大学発のバイオベンチャーです。「筋萎縮性側索硬化症(ALS)を治療可能な世界」を目指して、川田治良 代表取締役の研究成果の実用化を目的に設立されました。Nerve Organoidを国内外の研究機関や製薬企業等に提供するとともに、神経筋接合部に注目したALS創薬事業も社内で進められています。

【事業内容】

コア技術:”Nerve Organoid”

マイクロ流路チップ(左) (出典:TechCrunch)とNerve Organoid (右) (出典:せりか基金通信)

Jiksak社のコア技術は、人工神経組織”Nerve Organoid”です。神経組織は、細胞体の凝集部と軸索束から構成されていますが、これまでの培養技術では細胞体凝集部と軸索束を明確に分けることができず、生体内での神経組織を体外培養で再現することができませんでした。

Jiksak社のNerve organoidは、iPS細胞由来神経細胞スフェロイドをマイクロ流路チップ上で培養することで、細胞体と軸索が明確に分かれた状態で培養することができ、これにより軸索の状態を正確に観察・評価することが可能となりました。

マイクロ流路中で軸索ができる様子(出典:Kawada et al. Stem Cell Reports 9:1441-1449 (2017))

同社はこのNerve Organoidを、神経疾患に対する創薬ツールとして国内外の研究機関や製薬会社等に提供しています。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療開発

①ALSとは

筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis, ALS)は、脊髄運動ニューロンの障害により筋萎縮や筋力の低下が起こる、進行性の難治性神経疾患です。日本国内の患者数は約9,200人で、厚生労働省により難病指定されています(告示番号 2/通し番号 20: 筋萎縮性側索硬化症)。進行すると、歩行困難,言語障害,嚥下障害,呼吸器障害が起こり、日常生活を送ることが大変困難になります。原因は特定されておらず、治療法として進行を遅らせる薬はあるものの、症状を改善する治療法は現在のところありません。

②Nerve OrganoidによるALS解明研究

ALS患者運動ニューロンの軸索形態異常 (出典:東北大学 2019年7月2日プレスリリース)

東北大学東北メディカル・メガバンク機構の秋山徹也 助教,青木正志 教授らのグループは、ALS患者由来iPS細胞から作製した運動ニューロンと、Jiksak社のNerve Organoid技術を組み合わせることで、ALS患者の運動ニューロンでは軸索の形態が異常となることを発見しました。さらに、軸索部分のみを採取し分析することで、その形態異常にFos-B遺伝子が関連していることを見出し、この遺伝子がALS治療のターゲットとなることが期待されています。

③Nerve OrganoidによるALS創薬

Jiksak社では、ALSの治療薬の開発も進められています。

私たちが思いどおりに体を動かす上で、筋肉と運動神経(運動ニューロン)をつなぐ組織である神経筋接合部(NMJ; Neuromuscular junction)が重要な役割を果たしています。ALSモデルマウスではこのNMJに異常が見られており、NMJ形成に関わる遺伝子の投与によりNMJの形成を増強することで、筋萎縮や運動機能が改善されることが動物実験で示されています(東京大学/AMEDプレスリリース)。

同社の湯本法弘 最高技術責任者は、NMJの形成および維持にLrp4というタンパクが重要であることを発見しました(Yumoto et al. Nature 489:438-442 (2012)) 。Lrp4は筋肉に存在する膜型タンパクで、運動神経に働きかけることでNMJの形成を誘導する働きがあります。同社ではこのLrp4を標的とした創薬を目指しています。

 

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