〇他家iPS細胞由来眼細胞による再生医療の実用化開発を行うベンチャー
〇大阪大学医学部眼科の西田教授らが開発したSEAM法により、角膜細胞を誘導
〇2019年8月に、他家iPS細胞由来角膜上皮細胞シート移植を実施
会社名 | 株式会社レイメイ Reimei Inc. |
所在地 | 大阪府大阪市北区梅田1-1-3 大阪駅前第3ビル30階 |
代表者 | 代表取締役社長 小林 正和 代表取締役 西田 幸二 |
設立 | 2016年5月20日 |
上場 | 非上場 |
【会社概要】
iPS細胞由来の角膜上皮細胞や内皮細胞を用いた再生医療の実用化開発を行う、大阪大学発のベンチャーです。大阪大学医学部眼科の西田幸二 教授らが開発した、SEAM法と呼ばれる眼を構成する様々な細胞を誘導する技術をコア技術としています。西田教授らのチームは2019年8月に、世界初となる他家iPS細胞由来角膜上皮細胞シートを用いた臨床試験を実施しており、その治療法について、レイメイ社は再生医療等製品としての実用化開発を進めています。
【事業内容】
眼細胞誘導技術:SEAM法
大阪大学医学部眼科の西田幸二教授(レイメイ社代表取締役)の研究室では、iPS細胞からSEAM(Self-formed Ectodermal Autonomous Multi-zone)と呼ばれる2次元組織体を誘導する方法を開発しました(Hayashi et al. Nature 531:376-380 (2016))。
SEAMは同心円状の4つの帯状構造を形成しており、各層に、角膜上皮細胞,網膜,水晶体上皮細胞といった、それぞれ異なる眼の構成細胞を含んでいます。西田教授らは、第3層から角膜上皮前駆細胞を取り出し、角膜移植に適用可能な角膜上皮シートを作製しています。また、第2層より角膜内皮前駆細胞を単離し、内皮組織の作製も目指しています。
なぜiPS細胞由来細胞なのか?
角膜は、眼球の表面を覆う透明の膜組織であり、角膜上皮細胞,角膜実質,角膜内皮細胞から構成されています。化学熱傷等の外傷や、感染症、またスティーブンス・ジョンソン症候群のような粘膜異常を伴う疾患により角膜が変性・混濁した場合、ドナーの死後に提供された角膜の移植が行われています。しかしながら、ほかの臓器移植と同様にドナー不足の問題が常に生じています。
そこでドナー不足の問題を解決するために、患者自身の口腔粘膜の上皮細胞から細胞シートを作製し、角膜の代替として移植する自家培養口腔粘膜上皮細胞シート移植(COMET)法が開発され、臨床試験において良好な成績が得られています。
しかしながら、COMET術後の長期間の観察において、角膜内への血管侵入が生じて角膜の再混濁が生じる等、角膜と口腔粘膜の性質差に起因すると考えられる事象が見られています。
そこで、西田教授らのチームとレイメイ社は、口腔粘膜上皮細胞による代替治療ではなく、角膜上皮細胞自体による再生医療を目的に、その細胞源としてiPS細胞を用いる治療法の開発を進めています。また、角膜は比較的免疫拒絶反応が低い組織であり、点眼薬で 拒絶反応を抑えることができることから、他家iPS細胞が用いられています。
他家iPS細胞由来角膜上皮細胞シート移植臨床試験
2019年8月に、西田教授らのチームによって世界初となる他家iPS細胞由来角膜上皮細胞シート移植の臨床試験が行われました。この試験では、安全性を主要評価項目とし、副次評価項目として視力の回復等症状の改善を評価します。術後1年間の経過観察(~2020年8月)が予定されており、現在、経過観察中です。今後、さらに3例の試験が予定されています。
レイメイ社では、この他家iPS細胞由来角膜上皮細胞シートの再生医療等製品としての申請を目指し、治験の準備が進められています。