再生医療ベンチャー

再生医療ベンチャー#30 バイオミメティクスシンパシーズ

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〇脂肪由来間葉系幹細胞を用いてアルツハイマーの治療等の研究開発を行うバイオベンチャー

〇間葉系幹細胞用の無血清培養培地を開発

〇2011年にわさびの臭いで火災を知らせる「臭気発生装置」でイグノーベル賞受賞

会社名 株式会社 バイオミメティクスシンパシーズ
BIOMIMETICS SYMPATHIES.Inc
所在地 東京都江東区青海2-4-32 タイム24ビル19階
代表者 代表取締役社長 漆畑 直樹
設立 2000年11月28日
上場 非上場

【会社概要】

脂肪由来間葉系幹細胞(脂肪MSC)を用いた再生医療の開発や培養技術開発を行うバイオベンチャーです。脂肪MSCや脂肪MSC由来エクソソームを用いたアルツハイマー治療の開発や、MSC用無血清培養培地の開発等を行っています。

社名の「バイオミメティクス」とは生物模倣技術ともいわれ、生物が有する優れた機能を医学,工学などの分野に取り入れていく技術のことです。生体模倣技術を医療分野と共鳴(シンパシー)させる研究開発体制で取り組むというメッセージが、社名に込められています。

元々、”匂い”についての研究開発を行うために立ち上げられたベンチャーで、2011年に『わさびの臭いで火災を知らせる「臭気発生装置」』でイグノーベル化学賞を受賞しています(当時の社名は株式会社シームス。2014年に現社名に変更)。

【事業内容】

脂肪由来間葉系幹細胞(脂肪MSC)

バイオミメティクスシンパシーズ社は、主に脂肪MSCを用いて、アルツハイマー病などの治療開発や、脂肪MSCの細胞培養技術の開発などの研究開発を進めています。

①アルツハイマー病治療法開発

国立がん研究センター研究所の落谷孝広 分子細胞治療研究分野分野長(当時)と共同で、脂肪MSCおよび脂肪MSC由来を用いたアルツハイマー病の治療法の開発を行っています。

アルツハイマー病では脳内にアミロイドβペプチドが蓄積されることが知られていますが、脂肪MSCがアミロイドβペプチドの分解酵素であるネプリライシンを高発現すること、また脂肪MSC由来エクソソーム中にネプリライシンが含まれ、アミロイドβペプチド分解活性を有することから、これらを用いたアルツハイマー病の治療法の開発が進められています。

②細胞培養技術開発

ロート製薬と脂肪幹細胞の細胞培養技術開発に関する共同研究を行っています。バイオミメティクスシンパシーズ社の安全性の高い脂肪MSC培養技術を基に、医薬品としての脂肪MSC生産技術の開発を行っています。ロート製薬が再生医療分野に進出した2013年当初より共同研究を行っており、現在、同社はロート製薬の持分法適用関連会社となっています。

上記以外にも、日本大学歯学部と共同で、脂肪MSCによる歯周組織の再生や腸管粘膜免疫システムの改善、東京医科大学と共同(産学連携講座を設置)で、脂肪MSCの薬理作用の解明、その他に、神経障害性疼痛の改善、などの研究実績があります。

MSC用無血清培養培地

バイオミメティクスシンパシーズ社は、血清/血清由来材料,動物由来材料,ヒト由来材料を含まない、完全無血清培養培地を開発しています。本培養培地中を用いた脂肪MSCの培養では、脂肪,骨芽,軟骨への分化能を維持したまま、従来の血清添加培地よりも良好な増殖が示されました。また、培養後の細胞では染色体の転座や欠失といった異常は見られず、NOGマウス移植試験においても造腫瘍性は認められないことから、腫瘍化のリスクなく安全に培養できることが確認されています。

細胞培養施設

バイオミメティクスシンパシーズ社はオフィスと同建物内に細胞培養施設を有しており、2015年10月に特定細胞加工物製造許可(施設番号:FA3150011)を取得しています。同施設において、MSCの培養加工受託やCPCレンタル事業を行っています。

また、細胞培養加工施設、医療機関、患者をオンラインでつなぐ再生医療支援システム『cellnet』を開発しています。

イグノーベル化学賞受賞

2011年に、『わさびの臭いで火災を知らせる「臭気発生装置」』でイグノーベル化学賞を受賞しています(授賞理由は”for determining the ideal density of airborne wasabi (pungent horseradish) to awaken sleeping people in case of a fire or other emergency, and for applying this knowledge to invent the wasabi alarm.” (火災等の緊急時に眠っている人を起こすのに適切な空気中のわさびの濃度と、わさび警報装置の開発))。

(出典:“The Ig Nobel Prize Winners”)

同社は、元々は”匂い”についての研究と応用を目的に設立されたベンチャーで、当時の社名は株式会社シームスです(2014年に現在の株式会社 バイオミメティクスシンパシーズに変更)。この装置は、同社の漆畑社長が「火災で亡くなっている人の半数が耳の聞こえにくい人」ということを知ったことから開発されました。

イグノーベル賞と聞くと”役に立たないもの”という印象を受けてしまいがちですが、この受賞については消防庁の消防研究センターでも取り上げられる等、大きく期待されています。

同装置は製品化され、株式会社エイチ・ティ・エスより販売されています。

 

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