〇抗がんウイルスを中心としたがん治療開発を進めるバイオベンチャー企業
〇複数のがん種を対象に、腫瘍溶解ウイルス医薬テロメライシンの臨床試験が進行中
〇テロメライシンのメカニズムを応用し、がん検出用ウイルスのテロメスキャンを開発
会社名 | オンコリスバイオファーマ株式会社 Oncolys BioPharma Inc. |
所在地 | 東京都港区虎ノ門4−1−28 虎ノ門タワーズオフィス |
代表者 | 代表取締役社長 浦田泰生 |
設立 | 2004年3月18日 |
上場 | 2013年12月6日 マザーズ (4588) |
【会社概要】
抗がんウイルスを中心としたがん治療開発を進めるバイオベンチャー企業です。主要パイプラインの腫瘍溶解ウイルス・テロメライシン®は、食道がん,胃がん等複数のがんを対象に臨床試験が進められています。さらに、テロメライシンにp53や免疫チェックポイント阻害剤を組み合わせた、次世代テロメライシンも開発が進められています。
また、テロメライシンに蛍光分子を組み合わせたがん検出ウイルス・テロメスキャン®を開発し、早期発見や予後予測への応用も進められています。
【事業内容】
医薬品事業
①テロメライシン®
アデノウイルスを由来とする抗がんウイルスで、テロメラーゼ活性のある細胞内で増殖し、細胞死を引き起こします。そのため正常細胞には影響せず、テロメラーゼ活性の高いがん細胞のみに傷害を与えます。
現在、複数のがんに対して治験が進められています。
2019年4月に中外製薬と資本提携し、テロメライシンの日本,台湾における開発・製造・販売に関する再許諾権付き独占的ライセンスを付与しています。また、中国,香港,マカオにおいては、2016年11月に江蘇恒瑞医薬股份有限公司(ハンルイ社)と独占的ライセンス契約を締結しています。
食道がん
食道がんを対象に、先駆け審査指定制度の対象品目として指定されています。
2019年9月現在、放射線併用療法として、日本国内で第II相臨床試験の準備が中外製薬と共同で進められています。
また、免疫チェックポイント阻害剤キイトルーダ併用療法として、胃がん/胃食道接合部がんを対象に、米国コーネル大学を中心に第II相臨床試験が進められています。
肝細胞がん
肝細胞がんは世界のがん死亡数の第2位を占めており、特にアジア地域で患者が多いがんです。
現在、台湾・韓国で単剤投与の第I相臨床試験が進められています。
メラノーマ
切除不能または転移性メラノーマを対象とした第II相臨床試験が進められていましたが、競合が多く臨床試験に遅延が生じたことと、メラノーマ治療薬の上市が相次いだため、2019年に開発が中止されています。
②次世代テロメライシン/OBP-702
テロメライシンにがん抑制遺伝子であるp53を組み合わせた改変ウイルスです。現在、非臨床試験が進められており、ヒト骨肉腫細胞株移植マウスにおいては、テロメライシンより強い抗腫瘍効果が見られています。
また、免疫チェックポイント阻害分子やリンパ球刺激分子を組み合わせたスーパーテロメライシンも開発中です。
③その他医薬品パイプライン
○HIV治療薬OBP-601:
2006年にYale大学より導入した逆転写酵素阻害剤センサブジン(Censavudine)です。第IIb相臨床試験においてエンドポイントを達成しており、導出活動中です。
○HDAC阻害剤OBP-801:
2009年にアステラス製薬より導入したヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤です。固形がんに対する開発は中断していますが、緑内障手術などへの応用を京都府立医科大学と共同で進めています。
検査事業
①テロメスキャン®
テロメライシンにGFPを発現する遺伝子を組み込んだ改変ウイルス(OBP-401)で、がん細胞が緑色蛍光で検出できます。さらに、正常血球細胞内での増殖および発光を抑制しより特異的に検出可能なテロメスキャンF35(OBP-1101)も開発されています。
がん原発巣から浸潤したがん細胞が血中に入り、血中循環がん細胞(CTC)として各組織に転移します。これまでのMRIやPETでは検出できなかったこのCTCをテロメスキャンで検出することで、超早期発見や治療後の効果確認等に応用します。 テロメスキャンについては、2015年に米国Liquid Biotech USA, Inc.と、北米におけるライセンス導出契約と事業提携を締結しています。テロメスキャンF35については、2014年に韓国WONIK CUBE Corp.と韓国におけるテロメスキャンF35のライセンス導出契約を締結しています。日本国内においては、大阪大学/大阪警察病院(すい臓がん)や順天堂大学(肺がん)と共同で予後予測応用についての開発が進められています。