再生医療ベンチャー

再生医療ベンチャー#45 レグセル

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〇コア技術は抗原提示により活性化したT細胞(Teff)から制御性T細胞(Treg)に変換する技術

〇自己免疫疾患やアレルギー疾患、臓器移植の慢性拒絶などへの治療法を研究開発

〇Treg発見者の坂口志文 大阪大学/京都大学名誉教授が最高技術責任者を務める

 

【会社情報】

会社名 レグセル株式会社
Regcell Co., Ltd.
所在地 大阪府吹田市山田丘3-1 大阪大学 微生物病研究所 北館1階
代表者 代表取締役 半田恭彦/坂口教子
設立 2016年1月27日
上場 非上場

 

【企業理念/ミッション】

 

【会社概要】

制御性T細胞(Regulatory T cell; Treg)の応用により新しい免疫治療法の開発を行うバイオベンチャーです。抗原特異性はそのままにTeffからTregに変換する独自の技術を確立し、その実現を目指しています。社名は制御性T細胞(Regulatory T cell)に由来しています。

レグセル社は、Tregの発見者でありTreg研究の世界的第一人者である坂口志文先生(大阪大学名誉教授兼京都大学名誉教授)が長年研究されてきたTregの社会実装を目的に2016年に設立されました。レグセル社の最高技術責任者(CTO)でもある坂口先生のもと、Tregを治療にいかすという新しいコンセプトの実現を研究しています。

【事業内容】

制御性T細胞とは

制御性T細胞(Regulatory T cell; Treg)は、免疫反応を抑制する働きを持つT細胞です。自己に対する免疫応答や炎症等、過剰な免疫反応を抑えることで、免疫系の恒常性を保つ役割を担っています。

(出典:大阪大学ウェブサイト 特集「つたえる」制御性T細胞は何をつたえているのか)

免疫反応を抑制する細胞の存在は以前から知られていましたが、その実体は掴められておらず、その存在が否定された時期もありました。そのような中、坂口教授はCD25を発現するT細胞が免疫反応を抑制することを発見し、さらに転写因子Foxp3がTregへの分化に重要な遺伝子であることを突き止めました。Tregの存在の予見から発見に至るまで、JT 生命誌研究館「ゆらぐ自己と非自己―制御性T細胞の発見」において詳しく語られています。

レグセル社では、自己免疫疾患や移植時の拒絶反応抑制を対象とした、Tregによる細胞治療の開発を進めています。

コア技術

【抗原特異的な免疫制御】

レグセル社の技術のキーワードは「抗原特異性」です。その鍵となるのはT 細胞受容体(TCR)であり、Teff、TregともにTCRを発現しています。TCRには多くの種類が存在し、Tregは同じTCRを持ったTeffの免疫反応のみを抑制します。

例えば自己免疫疾患では、自己抗原を認識するTCRを持ったTeffが自己組織を攻撃することで発症すると考えられています。現在は免疫全般を抑制する治療が主流ですが、これだと抑制する必要のない免疫反応まで抑えられるため、感染症にかかりやすくなる等の副作用の危険があります。しかし、Teffと同じ抗原を認識するTregがあれば、自己抗原への反応のみ抑制することができます。

つまり、疾患毎に適切なTCRを持ったTregを確保できれば、疾患の原因となっているTeffのみを抑制することで治癒が可能となります。

 

【自家細胞による細胞治療】

レグセル社は、TeffからTCRの発現はそのままにTregに変換する技術を確立しており、その技術で作製されたTregは高機能安定型iTreg(induced Treg)といいます。この技術を自己免疫疾患の患者様から採取したT細胞に適用すると、自己抗原に反応しているTCRはそのままなので、たとえ自己抗原が未知であったとしても治療できる可能性が開けます。これは自家細胞治療だからこそ実現できる治療法となります。

自家細胞によるTreg細胞治療 (レグセル社提供)

 

Treg細胞治療開発

レグセル社では、上記のコア技術を用いて自己免疫疾患や移植時の拒絶反応に対する治療法の開発を進めています。自己免疫疾患には難病指定されているものありますが、患者様のQOLの向上に貢献できる、新しい治療法の提供を目指しています。

骨髄移植等の造血幹細胞移植時の移植片対宿主病(GVHD)や、臓器移植時の慢性拒絶に対してもTregによる治療法の研究が進められています。

 

※レグセル株式会社様の許可を得て、企業ロゴおよびウェブサイト画像を使用しています。

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