再生医療ベンチャー

再生医療ベンチャー#6 メディネット

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〇免疫細胞の細胞加工を事業の柱に据え、細胞加工施設の運営管理サポートも手掛ける

〇国内最大レベルの細胞加工施設を保有

〇再生医療等製品やがん治療に関する研究開発も積極的に推進

会社名 株式会社メディネット
MEDINET Co., Ltd.
所在地 東京都大田区平和島六丁目1番1号 TRCセンタービル9階
代表者 代表取締役社長 木村 佳司
設立 1995年10月17日
上場 2003年10月8日 マザーズ (2370)

【会社概要】

免疫細胞治療を行う医療機関からの免疫細胞加工受託が事業の柱です。国内最大レベルの細胞加工施設を有しており、これまでに18万件を超える実績があります。そこで得たノウハウ・経験を活かして、細胞培養加工施設の運営管理サポートサービスも手掛けています。一方で、再生医療等製品や基礎技術の開発も積極的に進められています。

同社は2018年に『ACCEPE 2021戦略』を掲げ、社内の事業構造改革を推し進めています。

ACCEPT2021:自家細胞(Autologous Cell)の培養・加工(Culture & Engineering)技術を生かした自社製品(Product)の開発・製造・販売を主力とした事業構造

【事業内容】

免疫細胞治療用細胞製造

免疫細胞治療用の細胞製造を事業の柱としており、瀬田クリニックグループや国立の医療機関をはじめ、全国の多くの医療機関と提携し、治療用の細胞を提供しています。

活性化T細胞,NK細胞,樹状細胞の細胞加工を行っており、2019年6月の時点で、細胞加工数は累計約18.3万件にのぼっています。

また、中国ハイアールグループと医療ツーリズム事業の業務提携を締結しており、中国市場への展開も進めています。

免疫細胞以外にも、iPS, ES細胞や間葉系幹細胞等の体性幹細胞の細胞加工受託も行っています。

また、細胞培養加工施設の設備設計,運営・管理や、細胞加工技術者派遣といった施設運営サポートも展開しており、九州大学先端医療イノベーションセンター,金沢大学,順天堂大学等の細胞培養加工施設の運営管理を行っています。

細胞培養加工施設

羽田空港の近隣に、国内最大レベルとなる細胞培養加工施設となる品川細胞培養加工施設(品川CPF)を設置しており、2015年5月に特定細胞加工物製造許可を取得しています(施設番号:FA3150001)。以前は、新横浜、大阪、福岡にも細胞培養拠点がありましたが、現在は、品川CPFに細胞培養業務を統合しています。

再生医療等製品 研究・開発

自家培養軟骨と成人T細胞白血病樹状細胞ワクチンの再生医療等製品の開発を目指しています。

①自家培養軟骨 (開発コード:MDNT01)

膝軟骨損傷を対象とした培養軟骨製品です。

米国企業のHistogenics社が開発を進めていた自家培養軟骨「NeoCart」の日本国内での開発・販売を目的に、2017年に米国での第III相臨床試験前の段階で導入しました。

しかしながら、第III相臨床試験では主要評価項目を達成することができず、さらに2019年5月にNeoCartの全権利はHistogenics社からMedavate社(米国)に売却されました。

このような経緯から、メディネット社における今後の開発方針は未定となっています(2019年9月現在)。

②成人T細胞白血病樹状細胞ワクチン (開発コード:ATL-DC-101)

成人T細胞白血病(ATL)を対象とした樹状細胞ワクチンです。

ATLはHTLV-1というウイルスが感染したリンパ球ががん化することが原因だと考えられています(ただし、HTLV-1に感染すると必ず発症するわけではなく、発症率は5~10%と言われています)。

HTLV-1に感染したリンパ球の表面には、正常なリンパ球にはない”Tax”というウイルス由来のタンパクが発現しています。そこで、患者血液から取り出した自家樹状細胞にこのTax由来ペプチドを加えて培養し、その後患者体内に戻すことで、患者体内でTax発現細胞(=HTLV-1感染リンパ球)を攻撃させる治療法です。

九州がんセンターを中心とする国立病院機構との共同で開発が進められており、第Ia/Ib相臨床試験では安全性が確認されています。現在、医師主導第II相臨床試験の準備が進められています。

その他の技術開発

再生医療等製品以外にも、以下のような技術,製品の研究開発が行われています。

①糖鎖修飾改変T細胞の新規培養技術

大阪大学医学研究科との共同研究で、細胞の糖鎖修飾・代謝調節作用を有する2-deoxyglucose (2DG)をリンパ球培養に添加することで、エフェクター機能や細胞傷害活性といったリンパ球の機能を高める培養技術です。

現在、治験前段階としての非臨床試験の準備中です。

②腫瘍血管傷害型CAR-T細胞療法の開発

大阪大学薬学研究科との共同研究で、mRNAをエレクトロポレーション法で導入することで、効率的にCAR-T細胞を作成する技術です。この技術を用いて、血管に発現する血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR2)を標的としたCAR-T細胞を作製し、マウスでの実験では腫瘍血管を傷害することで腫瘍の縮小が見られています。

現在、臨床応用へ向けて研究が続けられています。

③高感度抗体検出技術 MUSCUT ASSAY

がん治療において治療がよく効いた場合は、がん細胞が崩壊し細胞中のがん抗原が血中に放出されることで、抗がん抗原抗体が増加します。本技術は、がん抗原をS-カチオン化しビーズに固定化することで、血中の抗がん抗原抗体を高感度に検出できる技術です(MUSCAT-assay (Multiple S-cationized antigen beads array assay)。

本技術は岡山大学等との共同研究により開発され、すでに、日本、中国、シンガポール、台湾において特許が成立しています。

④抗ブチロフィリン3モノクローナル抗体の導出

ブチロフィリン3 (BTN3/CD277)はリンパ球に発現するタンパクで、機能は未解明ながら、リンパ球の活性化に関与している可能性が考えられています。

2019年に、同社が保有する新規抗BTN3モノクローナル抗体を、BioLegend社(米国)に研究用製品開発として導出しています。同抗体が製品化され、BTN3の研究が進むことで、BTN3を標的とした治療法の開発が期待されます。

 

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