
〇不織布を用いた間葉系細胞の3D高密度大量培養技術を開発
〇同技術による自動大量培養装置Achieva-CSを開発・販売
〇医療機関と提携し、尿失禁,難治性皮膚潰瘍,変形性関節症を対象に効果を検証中
会社名 | 株式会社フルステム FullStem Co., Ltd. |
所在地 | 沖縄県那覇市天久2-1-15 サザンリーフ6階 |
代表者 | 代表取締役 千葉俊明 |
設立 | 2016年8月25日 |
上場 | 非上場 |
【会社概要】
間葉系幹細胞の高密度大量培養技術を開発する沖縄のバイオベンチャーです。不織布を用いた、回収可能な高密度3D培養法を開発しています。同技術を基に、自動大量培養装置「Achieva-CS」を開発・販売しています。同装置1台で、最大1×109個の細胞(10cm培養ディッシュ1,000枚分相当)を、従来の1/10以下の低コストで得ることができます。
【事業内容】
不織布3D高密度大量培養技術
①大量培養・回収技術
医療用不織布をボトル中に充填し(4,000枚/1Lボトル)、不織布上で間葉系幹細胞を培養することで、高密度な大量培養を行います。また、酵素処理により不織布から90%以上の効率で細胞を回収する方法も開発しています。これらの技術により、1Lボトル1本あたり5×108個の大量培養を培養・回収することができます(10cm培養ディッシュ500枚分相当)。この大量培養により、従来の製造費用の1/10以下という低コスト化を実現しています。
②間葉系幹細胞用無血清培地
不織布培養に適した、動物由来成分不含の無血清培養培地を開発しています。培地名”N-medium”は、沖縄の言葉で”命の薬”を意味する”ぬちぐすい”からきています。
不織布培養で比較した結果、従来の血清培地の約5倍、他メーカーの培養培地の約1.5倍の増殖速度が確認されています。
次世代大量培養装置「Achieva-CS」
不織布3D高密度大量培養技術による自動大量培養装置Achieva-CS (アチーバ-CS)が開発され、2018年より販売されています。
本装置は専用培養資材「三次元高密度大量培養アチーバキット for ADSC」(培養培地,細胞回収用酵素,培養ボトル,チューブ等)をセットアップして使用し、細胞の培養および回収を自動で行えます。また、培養中に培地中の糖消費量をモニタリングすることで適切な回収のタイミングを判定し、1台で一度に最大1×109個の細胞が回収できます。
脂肪,骨髄,滑膜,羊膜,臍帯の各組織由来間葉系幹細胞での培養実績があります。
2018年の再生医療学会において、同装置の紹介をランチョンセミナー(主催:LMS社)で行った際には、当日のランチョンセミナーの中で整理券が一番最初になくなる等、大変注目を集めています。
治療用細胞実証
Achieva-CSで培養された細胞の治療効果について、南部徳洲会(沖縄)とそばじまクリニック(大阪)と共同し、検証を進めています。南部徳洲会病院では、前立腺がんの手術後に合併症として起こる尿失禁と、高齢者に多い難治性皮膚潰瘍の2つを対象に、そばじまクリニックでは変形性関節症を対象に、同装置で培養された脂肪由来間葉系幹細胞を用いて治療を行い、効果を検証します。この取り組みは、沖縄県の先端医療産業開発拠点実用化事業として、2018年から4年間かけて行われる計画です。