再生医療ベンチャー

再生医療ベンチャー#43 ビジョンケア

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〇眼科領域の再生医療の研究開発や、ロービジョン(低視力)者の支援を行うベンチャー

〇理化学研究所 網膜再生医療研究開発プロジェクト元プロジェクトリーダーの高橋政代氏が代表を務める

〇神戸アイセンターにおいて、再生医療をはじめとする研究成果の実用化・事業化の支援を担当

会社名 株式会社ビジョンケア
所在地 神戸市中央区港島南町二丁目1番8 神戸アイセンター5階
代表者 代表取締役社長 高橋政代
設立 2017年3月10日
上場 非上場

【会社概要】

元理化学研究所 網膜再生医療研究開発プロジェクトリーダーの高橋政代氏が代表を務める、眼科領域の再生医療の研究開発や、ロービジョン(低視力)者の支援を行うベンチャーです。神戸アイセンターを構成する組織の一つとして、再生医療をはじめとする研究成果の実用化・事業化の支援を行っています。

【事業内容】

神戸アイセンター

神戸アイセンターは、視覚障害者や眼の疾患患者の治療やケアを行う組織として、2017年に開設されました。眼科領域の基礎研究、臨床応用、治療、ロービジョンケアをに対応するための病院施設(神戸市立アイセンター病院)、研究所(理化学研究所網膜再生医療研究開発プロジェクト)、ロービジョンケア施設(公益社団法人NEXT VISION)、オープンラボ(株式会社ビジョンケア)に加え、細胞培養施設(公共財団法人 神戸医療産業都市推進機構 細胞医療研究開発センター)から構成されています。ビジョンケア社は、再生医療をはじめとする研究成果の実用化・事業化の支援を担っています。

神戸アイセンターにおける眼科領域体制 (出典:『神戸アイセンターの一年』)

高橋政代氏は、2019年7月に網膜再生医療研究開発プロジェクトのプロジェクトリーダーを辞職して、ビジョンケア社の代表取締役に就任しています。同氏は網膜再生医療研究開発プロジェクトにおいて、客員主管研究員として引き続き研究開発に携わります。また上記組織において、アイセンター病院 非常勤医師, NEXT VISION 理事を兼任しています。

iPS細胞による網膜再生医療

理化学研究所網膜再生医療研究開発プロジェクトでは、2014年に世界初のiPS細胞を用いた臨床試験となる、自家iPS細胞由来網膜色素上皮細胞による加齢黄斑変性治療を実施しています。

①加齢黄斑変性

眼球の構造(左図)と滲出型加齢黄斑変性(右図) (出典:JST成果報告『iPS細胞を用いた臨床手術に成功!』)

網膜は視細胞を含む感覚網膜と網膜色素上皮(RPE)から構成されています。網膜の中心部の視細胞が密集している部位が黄斑であり、視力に重要な役割を担っています。加齢によるこの黄斑の異常が加齢性黄斑変性で、ゆがみ、ぼやけ、失明等の視力障害が起こります。日本国内では、50歳以上の約1%に見られ、患者数は約70万人と言われています。

加齢黄斑変性には、新生血管の発生を伴う「滲出型(Wet型)」と、伴わない「萎縮型(Dry型)」がありますが、加齢黄斑変性の90%以上が滲出型です。

②自家iPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)シートの移植

iPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)シートの移植 出典:JST成果報告『iPS細胞を用いた臨床手術に成功!』)

滲出型加齢黄斑変性の患者に対して、2013年より患者本人のiPS細胞を作製し、そこから網膜色素上皮(RPE)細胞の誘導・細胞シート作製後、2014年9月に、世界初となるiPS細胞由来組織を用いた臨床試験https://upload.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/ctr_view.cgi?recptno=R000013279が、神戸市の先端医療センター病院(当時)において行われました。

術後、2年以上経過した段階においても、腫瘍形成や拒絶反応は認められず、また術前は低下傾向が見られていた視力も維持され、新生血管の再発もなく、良好な経過が確認されています。

当初2例目の移植試験が予定されており、規格を満たすiPS細胞由来RPEシートの作製まで行われましたが、ゲノム解析においてX染色体上の遺伝子の一部に欠失が見られ、その安全性への影響が不明であったこと、さらに血管新生を押さえる抗VEGF製剤の投与により症状が落ち着いていたことから、2例目については、延期、後に中止となっています。

③他家iPS細胞由来RPE懸濁液の移植

加齢黄斑変性に対して、自家iPS細胞由来RPEシート移植の安全性の確認はできていますが、費用・時間のコスト、および手術リスクを考えた上で、2017年に他家iPS細胞由来RPE懸濁液の移植試験が実施されています。

iPS細胞由来網膜色素上皮細胞の剤形(出典:iPS細胞による網膜再生医療)

この臨床試験においては、HLA型がマッチする健常ドナー由来のiPS細胞を用いて網膜色素上皮細胞を誘導し、細胞シートではなく細胞浮遊液の状態で注入しています。

神戸市立医療センター中央市民病院と大阪大学病院において、2017年3月から9月にかけて、5名の患者に移植が行われ、移植後1年間の経過観察において、免疫抑制剤の投与なしにステロイドの投与だけで拒絶反応をが抑えられていることが確認されています。

ロービジョンケア

同じく神戸アイセンター内のNEXT VISIONと共同して、”isee運動” を通してロービジョン(低視力)者のリハビリや社会復帰といったケアを行っています。同センター内のビジョンパークでは、ロービジョン者やその家族が困りごとや悩みを話すことができる場である「ロービジョンのつどい」を、定期的に開催しています。

(出典:iPS細胞による網膜再生医療)

 

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