再生医療ベンチャー

再生医療ベンチャー#29 サイフューズ

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〇独自技術「剣山メソッド」により、スキャッフォルドを用いずに細胞のみで3次元組織体を作製

〇骨軟骨,神経,血管の再生医療や、新薬開発ツールのための肝臓構造体の開発が進行中

〇自動三次元細胞積層システムを開発・販売

会社名 株式会社サイフューズ
Cyfuse Biomedical K.K.
所在地 東京オフィス:東京都文京区本郷2-27-17 ICNビル 5A
東京ラボ:東京都文京区本郷7-3-1 東京大学アントレプレナープラザ
九州ラボ:福岡市東区馬出3-1-1 九州大学コラボステーションII
代表者 代表取締役 秋枝 静香
設立 2010年8月11日
上場 非上場

【会社概要】

「剣山式 (Kenzan Method)」と呼ばれる独自技術を用いたバイオ3Dプリンタにより、スキャフォルドを用いずに3次元組織体を作製するバイオベンチャーです。九州大学医学部整形外科(当時)の中山功一博士が開発した技術を基に設立された、九州大学発のベンチャーです。同技術を用いて骨軟骨,血管,神経,肝臓の再生治療の開発を進めるとともに、バイオ3Dプリンタの販売も行っています。

社名の”Cyfuse”は、「細胞」を意味する“cyto”と「融合」を示す“fusion”を組み合わせた言葉であり、細胞による再生を象徴するとともに、バイオロジーとエンジニアリングという異なる技術を融合した画期的な技術を活用することにより、人や社会に役立つ新たな価値を生み出していきたいという思いが込められています。

首相官邸が発行する広報誌『We Are Tomodachi』に掲載されるなど、注目を集めているベンチャーです。

【事業内容】

基盤技術:バイオ3Dプリンタ

サイフューズ社の基盤技術は、剣山メソッドによる3D組織体作製技術です。本技術は、スフェロイドと呼ばれる細胞集塊を微細針を多数配置した剣山に串刺しのようにして配置し、培養します。一定期間培養後、スフェロイド同士が相互にくっつき合い、全体で一つの組織を形成します。微細針を抜きさらに一定期間培養することで、針穴もふさがり強度を持った3D組織体が作製されます。

(出典:産学官連携ジャーナル 2017年10月号『株式会社サイフューズ バイオ3Dプリンタを用いて細胞のみで臓器をつくる!』)

本作製法では、従来の3D培養で必要となるスキャッフォルドが不要であるため、合併症の危険が低くより安全な移植組織や、正確な薬剤応答性を評価できるツールが作製できる点に優位性があります。また、ほかのバイオプリンタ技術と比較しても、生存率、細胞密度等が優れています。

(出典:みずほ情報総研 技術動向レポート 医療への活用が進む3Dプリンティング技術)

本3D組織体を自動で作製する装置が、渋谷工業と共同で開発されています。

再生医療パイプライン

3D組織体作製技術を用いて、以下の再生医療や創薬スクリーニングツールの開発が進められています。

①骨軟骨再生

損傷の大きな軟骨欠損に対して、軟骨と骨を同時に再生できる”骨軟骨構造体”の開発を行っています。

軟骨欠損を対象とした再生医療として、軟骨シートの移植が行われています。しかしながら、この治療法は関節表面の薄い軟骨層の損傷のみを対象としており、軟骨を支える軟骨下骨層まで損傷が及ぶ場合は、人工関節への置換、もしくは対処療法のみとなっています。

そこでそのような損傷治療用に、自家脂肪由来間葉系幹細胞による”骨軟骨構造体”の開発が進められています。この骨軟骨構造体は、欠損部に移植後に軟骨および骨に分化し、軟骨と軟骨下骨それぞれを再生することが、ブタを用いた動物試験において確認されています。

本プロジェクトは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の委託事業「革新的医療技術創出拠点プロジェクト/HDMAC技術応用による変形性膝関節症における広範囲骨軟骨再生」(代表:九州大学)として、現在開発が進められています。

②血管再生

血液透析用の”細胞人工血管”の開発を行っています。

血液透析では大量の血液を取り出して透析器を通した後に体に戻さなければなりませんが、通常採血を行うような静脈からでは大量の血液を持続的に取り出し続けることは難しいため、自己血管もしくは人工血管を用いて専用の血管(バスキュラ―アクセス)を作る必要があります(中でも動脈と静脈を直接つなぐ血管をシャントと呼びます)。自己血管の方が合併症を起こしにくく長持ちしやすいのですが、十分な太さの血管が必要となり、患者によっては適した血管が採取できないこともあります。一方で人工血管では、閉塞や感染症が起きやすいといったリスクがあります。

そこで、自家線維芽細胞から同社の3D組織体作製技術により作製した細胞性血管を血液透析用のシャントとして用いる治療法の開発が進められています。この細胞性血管が、生体内血管と同等の強度および長期間開存を有することが、ブタを用いた動物試験により確認されています。

本プロジェクトは「バイオ3Dプリンタで造形した小口径Scaffold free細胞人工血管の臨床開発」としてAMEDから採択され、佐賀大学及び京都府立医科大学と共同で開発が進められています。今後は、重症下肢虚血の血行再建,冠動脈バイパス術,脳血管・小児用血管といった領域への拡大が計画されています。

③神経再生

神経再生のための”神経導管”の開発を行っています。

事故や腫瘍切除手術などで神経を損傷した場合、患者自身の足から採取した神経、もしくはシリコン製の人工神経の移植が行われています。しかしながら、自己の神経の採取には限界があり、また採取箇所に痺れや痛みが生じることがあります。一方で人工神経では神経としての機能が十分に再生されないという問題があります。

そこで同社では、iPS細胞由来神経前駆細胞から成る神経構造体(神経導管)の開発を行っています。この神経構造体を移植することで、切れた神経が構造体の空洞部分を伸長し再生するとともに、感覚神経と運動神経の機能についても改善したこと、また、従来の人工神経を用いた移植と比較して組織の再生が良好であることが、動物試験において確認されています。

本プロジェクトはAMEDの「革新的医療シーズ実用化研究事業/バイオ3Dプリンタにより作製した三次元神経導管(Bio 3D Conduit)を用いた革新的末梢神経再生法の臨床開発」(代表:京都大学)としてAMEDから採択され、京都大学と共同で開発が進められています。

④肝臓構造体

創薬研究において有用な肝機能評価モデルを開発しています。

創薬研究において、代謝性や肝毒性の評価が培養肝細胞を用いて行われています。しかし、従来の肝細胞培養では数日で薬物代謝能が失われてしまいます。

同社の3次元細胞積層技術を用いて作製した3D肝臓構造体は、従来の肝細胞培養と比較して長期間、薬物代謝能を維持することが確認されており、前臨床段階での開発候補薬物の代謝試験や安全性試験において非常に有用であることが期待されています。

バイオ3Dプリンタ

①三次元細胞積層システム regenova®

同社の3D組織体作製を自動で行う装置です。専用のソフトウェアでスフェロイドの位置を指定することで、剣山ユニット上の任意の針にスフェロイドを配置し、3D組織体を作製することができます。渋谷工業社が製造し、サイフューズ社が販売しています。

②バイオ3Dプリンター S-PIKE®

Regenova®と同じく、自動で3D組織体を作製する装置ですが、regenovaが固定された針上にスフェロイドを配置するのに対し、本装置ではスフェロイドを針上に配置した後に針を任意の位置に配列するため、より自由度の高い組織体の作製が可能となります。サイフューズ社が開発・製造元となり、シスメックス社が販売を行います。また、欧州・北米地域への販売展開について、丸紅商事と業務提携が結ばれています。

 

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