再生医療ベンチャー

再生医療ベンチャー#17 オーガンテクノロジーズ

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〇「器官再生医療」により、毛髪や歯の再生医療の実用化を推進する理研認定ベンチャー

〇毛髪再生医療は2019年内に臨床試験開始予定

〇「毛髪からの健康診断」の実用化へ向けて、毛髪診断コンソーシアムを設立し中心となり活動

会社名 株式会社オーガンテクノロジーズ
Organ Technologies Inc
所在地 本社:東京都港区虎ノ門5丁目1番4号 東都ビル 5階
研究開発拠点:兵庫県神戸市中央区港島南町6–7–1
理化学研究所 融合連携イノベーション推進棟 (IIB)
代表者 代表取締役 杉村 泰宏
設立 2008年4月21日
上場 非上場

【会社概要】

社名の通り、「オーガン(器官,臓器)」の再生の開発を目指すバイオベンチャーです。理化学研究所の辻孝ディレクター(同社 研究開発担当取締役)の開発した「器官再生医療」の実用化を進めています。毛髪の再生が主力開発項目であり、臨床試験に向けた開発を進める一方で、理化学研究所やアデランス社等の約20機関から構成される「毛髪診断コンソーシアム」を中心となって設立し、大規模な毛髪診断システムの構築も進めています。

2017年に理研ベンチャーに認定されています。

【事業内容】

毛髪,歯科組織の再生医療を中心に開発しています。また、体外試験用の人工皮膚モデルや、臓器移植用の臓器保存のための3次元臓器培養システムの開発も行っています。

毛髪再生医療

成人男性の約3割で発症する”男性型脱毛症”(AGA; Androgenetic Alopecia)は、生命にかかわる疾患ではないもののQOLの上で治療法の開発が強く望まれています。

①再生毛包原基

理化学研究所のグループは、器官再生技術により毛の再生が可能が「再生毛包原基」の作製に成功しています。これは、バルジ領域由来の上皮性幹細胞と毛乳頭由来の間葉系幹細胞を、コラーゲンゲル内で層状に区画化して高密度に配置する培養法です。さらに色素幹細胞を加え作製した毛包原基をマウスに移植したところ、黒い毛が生えることが確認されました。

再生医療においては、患者自身の後頭部の毛髪のバルジや毛乳頭を採取し、毛包原基を作製し移植します。2016年より京セラと共同研究を開始し、臨床応用に向けて安定的な製造方法を開発しています。2019年内の臨床試験開始に向けて、現在準備が進められています。まずは男性型脱毛症を対象とし、その後、女性型脱毛症や瘢痕性脱毛症、先天性脱毛症へと進める計画となっています。

②iPS由来皮膚器官

先天性や重度の脱毛症等清浄毛包がない患者に対する治療法として、iPS細胞からの毛包原基誘導の開発が行われており、CDB法(Clustering-Dependent embryoid Body)と名付けられた方法により、マウスiPS細胞から毛包を含む皮膚器官を誘導することに成功しています。

この方法では、マウスiPS細胞を低接着培養することで胚様体(EB)を作製し、その後コラーゲンゲル内に30個以上のEBを立体的に配置したものを免疫不全マウスの腎被膜下に移植します。

移植後テラトーマ(腫瘍)様の組織が形成されますが、この組織中に天然皮膚の組織と同様の構造を持つ皮膚器官系が再生されています。

この器官系をヌードマウスに移植したところ、天然の体毛と同じ毛周期で生え変わる発毛が確認されています。

特殊な誘導方法であるため、現段階ではヒトへの応用は難しいですが、ヒトへの臨床応用に向けてさらなる開発が期待されます。

③毛髪診断コンソーシアム

「毛髪からの健康診断」を実用化するために、2017年に同社が中心となり「毛髪診断コンソーシアム」を立ち上げました。本コンソーシアムには、理化学研究所、アデランス、ヤフー、京セラを始め、約20の機関,企業が参加しています。

毛髪は毛母細胞が分裂してできた死んだ細胞の集合体であり、細胞の代謝物等が蓄積されています。例えば、薬物は血液や尿中では2週間程度で消失しますが、毛髪中にはその代謝物が蓄積しており、根元からの距離によりその時期も特定できます。さらに健康状態や疾患との関連も分かってきており、例えば肝がんでは毛髪中にカルシウム,糖,鉄が蓄積されることが報告されています。 毛髪診断コンソーシアムでは、毛髪の形態分析と組成分析について、健康データベースの構築と疾患の新規マーカーの同定を目標としています。現在ビッグデータの構築のために、 毛髪と健康情報の提供の協力が求められています

歯科再生医療

歯科領域の再生医療として、歯の再生、歯周組織組み合わせたインプラントの開発の2つが理化学研究所のグループと共同で進められています。

①歯の再生

歯は、よく知られているように永久歯が失われると2度と生えてきません。歯の基となる歯胚も毛包と同じく上皮性幹細胞と間葉系幹細胞の相互作用によって発生します。そこで、マウスにおいて器官原基法により歯胚を再生する誘導し、歯の欠損部位へ移植することで歯を生えさせることに成功しています。さらに大型動物としてイヌの永久歯歯胚から歯胚を再生し移植することで、同様に歯を生えさせることも確認されています。

②歯周組織結合インプラント

現在、永久歯を失った場合の治療法として、骨に金属(チタン)の人工歯根を埋め込むインプラント治療が広く行われています。しかし、天然の歯と違い歯根膜がないため、生理的な歯の移動ができない、骨との結合が不十分、細菌感染や破損が起こりうる等の問題があります。

そこでインプラントと骨を歯根骨でつなぐために、人工歯根を歯の成分であるハイドロキシアパタイトでコートし、歯周組織のもととなる歯胚の歯小嚢組織を結合させたインプラントを作製しました。それを歯喪失マウスに移植した結果、インプラント表層からセメント質、歯根膜、歯槽骨で構成される歯周組織の形成が認められ、さらに神経線維が侵入することで知覚刺激が回復しました。 現在、臨床応用を目指し開発が進められています。

③唾液腺・涙腺再生医療

分泌腺も毛包や歯と同様に、上皮性幹細胞と間葉系幹細胞の相互作用によって発生します。そこで、器官原基法により唾液腺,涙腺の再生医療を理化学研究所のグループと共同で開発しています。

唾液腺:

唾液は、食物の消化、口腔内の洗浄や殺菌の役割を担っています。老化やストレス等の様々な要因により唾液分泌腺の機能が低下することで口腔乾燥症(ドライマウス)となり、感染症や嚥下障害が引き起こされます。

現在、マウスにおいて器官原基法により唾液腺原基を誘導し、唾液を分泌する導管と接続することで、唾液を分泌する唾液腺の作製に成功しています。さらに唾液腺を全摘出した嚥下障害モデルマウスに作製した唾液腺を移植することで、唾液分泌能を完全な回復が見られています。

涙腺:

涙液は眼表面の保護の役割を担っており、涙腺の機能低下で涙液の分泌が不足するとドライアイが起こり、目の不快感や視力低下が生じます。

現在、マウスにおいて同様に器官原基法により、涙液の分泌可能な再生涙腺の作製に成功しており、この再生涙腺をマウスに移植した結果、眼障害面積と角膜上皮厚さが改善し、正常マウスと同レベルまで回復することが確認されています。

これらの分泌腺原基は胎児期に一度しか発生しないため、自己の幹細胞を入手することは困難です。そこで現在、iPS細胞からの誘導技術の開発が進められています。

次世代人工皮膚器官系モデル

化粧品や医薬品の開発において、動物実験代替として用いることのできる人工皮膚モデル”Advanced Skin”をちふれHD社と共同で開発しています。

従来の人工皮膚モデルは表皮層のみで構成されていました。同社の人工皮膚モデルは表皮層と真皮層を有した人工表皮モデルであり、より生体に近い機能評価を行うことができます。このAdvanced Skinは中小企業優秀新技術・新製品賞の優秀賞を受賞しています。

さらに同社では、より生体の皮膚に近い次世代型モデルとして、皮脂腺や毛穴をそなえた皮膚モデルの開発に取り組んでいます。これにより、皮膚バリア機能や経皮吸収性をより正確に評価できるようになることが期待されます。

3次元臓器培養システム

臓器移植においては提供臓器不足が最大の問題ですが、その原因の一つに摘出された臓器の保存期間の短さがあります。また心停止後の臓器は極めて短時間で移植不適覆うとなるため(肝臓の場合は数分)、心停止後ドナーの臓器の利用拡大が大きな課題となっています。

現在、臓器の動脈/静脈に低温下で臓器保存液を灌流させる装置が開発され、腎臓保存装置として製品化されています。

これに対しオーガンテクノロジーズ社は、保存ではなく「育成」という視点からアプローチし、臓器保存液ではなく細胞培養液に酸素運搬体として赤血球を添加し、また温度を20-25℃にコントロールすることで、肝臓の保存時間の延長を達成し、さらに心停止ドナー由来の移植不適応の肝臓を蘇らせ、生体で機能させることに成功しています。

将来的にはこの装置を、三次元立体臓器の培養へ応用することも考えられています。

 

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