〇血管内皮幹細胞を用いた新規治療法の開発を行う大阪大学発ベンチャー
〇難治性潰瘍を対象とした血管内皮幹細胞シートを開発中
〇血管内皮幹細胞移植による血友病Aの治療効果を動物試験で実証
【会社情報】
会社名 | リバスキュラーバイオ株式会社 |
所在地 | 大阪府吹田市山田丘3-1 大阪大学微生物病研究所 最先端感染症研究棟 |
代表者 | 代表取締役社長 大森一生 |
設立 | 2022年9月8日 |
上場 | 非上場 |
【企業理念/ミッション】
【会社概要】
血管内皮幹細胞を用いた新規治療の開発を行うベンチャー企業です。大阪大学微生物研究所の高倉信幸 教授らの研究成果を基に大阪大学発のベンチャーとして設 立されました
血管内皮幹細胞を用いて、難治性皮膚潰瘍を対象とした血管新生療法や、血友病を対象とした因子補充療法の開発が進められています。
【事業内容】
血管内皮幹細胞
血管内皮細胞は血管の内側を覆う細胞であり、血液の流動性の維持、血管透過性の調節、血管の収縮・弛緩の調節など様々な役割を担っています。血管が傷害を受けた場合、これまでは骨髄中に存在する血管内皮前駆細胞が血管内皮細胞に分化し修復すると考えられてきましたが、血管内皮前駆細胞による血管内皮細胞の供給は一過性のものであり、長期に渡り血管内皮細胞を維持するための幹細胞の存在は不明でした。
高倉教授らのグループはマウスを使った研究により、血管内皮細胞の集団中に存在するCD157陽性細胞が血管内皮幹細胞であり、血管の再生や恒常性の維持を行っていることを発見しました。血管内皮幹細胞は肝臓、肺、心臓、筋肉、皮膚、網膜、脳など全身の臓器の血管の太い血管に存在することが分かっています。
リバスキュラーバイオ社ではこの研究成果を基に、血管内皮幹細胞を用いた新規治療法の開発を進めています。
治療法として2つのコンセプトの開発が進められています。
1つは血管内皮幹細胞による「血管新生療法」です。動脈硬化や種々の疾患により血流が悪くなることで、手足の先まで血液が届かず症状が進むと壊死を起こします。そのような血管病に対して血管内皮幹細胞を移植することで血管新生を促し、回復を目指します。
もう1つは血管内皮細胞が産生する因子を補充する「アンジオクライン療法」です。血管内皮細胞は血液凝固因子をはじめ様々な因子を産生しています。これらの因子を先天的に欠損している遺伝病に対して、正常な血管内皮幹細胞を移植し正常な血管内皮細胞を生着させることで、治療効果を狙います。
開発パイプライン
前述のコンセプトに基づき、リバスキュラーバイオ社では2のパイプラインが進行中です。いずれも現在は研究段階ですが、臨床試験を目指した開発が進められています。
①全身性強皮症における指尖潰瘍
全身性強皮症https://www.nanbyou.or.jp/entry/4026は全身の皮膚や内臓が線維化し硬くなる病気であり、国内に2万人以上の患者がいるとされています。全身性強皮症の原因は明らかにはなっていませんが、免疫異常、線維芽細胞の活性化による線維化、血管障害の3つの要因が組み合わさることで起こると考えられています。
全身性強皮症では血管障害により高頻度で指先などに潰瘍が生じます。そこでリバスキュラーバイオ社は血管内皮幹細胞シートを作製して潰瘍部位に移植する治療法の開発が進められています。
②血友病A
血友病Aは血液凝固因子である第VIII因子が先天的に欠乏もしくは機能低下している疾患であり、全血友病のうち約80%を占め、国内の患者数は約4,600人とされています。現在は第VIII因子製剤の補充療法が唯一の治療法であり、根治的な治療はありません。
高倉教授らのグループによって、血管内皮幹細胞の血友病Aに対する治療効果が動物試験により実証されています。第VIII因子を欠損した血友病Aモデルマウスに正常なマウスから採取した血管内皮幹細胞を移植した結果、第VIII因子の活性の改善が見られ、止血機能の回復が見られています。