〇武田薬品/T-CiRAからスピンアウトしたスタートアップ企業
〇iPS細胞由来の心筋細胞や膵島細胞を用いた再生医療等製品の開発
〇iPS細胞技術およびその周辺技術を利活用したプラットフォームイノベーション事業を展開
【会社情報】
会社名 | オリヅルセラピューティクス株式会社 Orizuru Therapeutics Inc. |
所在地 | 神奈川県藤沢市村岡東2-26-1 湘南ヘルスイノベーションパーク内 |
代表者 | 代表取締役 野中健史 |
設立 | 2021年4月9日 |
上場 | 非上場 |
【会社概要】
細胞治療製品および革新的なiPS細胞関連技術の社会実装を目指し、細胞移植による再生医療等製品の開発、iPS細胞関連技術を利活用した創薬研究支援および再生医療研究基盤整備を行うスタートアップ企業です。T-CiRAで行われていた開発プログラムの中で、武田薬品の重点領域から外れた代謝性疾患と循環器系疾患プロジェクトの実用化を目的に武田薬品からスピンアウトして設立されました。iPS細胞由来の心筋細胞や膵島細胞を用いた再生医療等製品の開発が進められており、いずれも2026年までの臨床試験の完了を目指しています。
社名の「オリヅル/折り鶴」は、社員一人一人の「日本発のiPS細胞技術を社会のために役立てたい」想いを籠めて名付けられています。
【事業内容】
iCM事業
iPS細胞由来心筋細胞(iCM)は、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の吉田善紀准教授らによって開発されたiPS細胞由来心筋細胞です。細胞集塊や細胞シートのような組織体ではなくシングルセルの状態で移植することを特徴としています。
iCMは浮遊状態で心筋細胞に分化誘導され、さらに分化誘導の過程で発生する目的外の細胞を低分子化合物により除去することで純度の高い心筋細胞を得ることに成功しています。
iPIC事業
iPS細胞由来膵島細胞(iPIC)は、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の豊田太郎講師らの研究成果を基にT-CiRAで開発された細胞治療に適したヒトiPS細胞由来の膵島細胞であり、1型糖尿病の治療への適用を目指しています。iPICは膵β細胞(インスリン/NKX6.1陽性)と膵島細胞からなる膵内分泌前駆細胞凝集塊であり、皮下に移植されます。動物実験では、移植後に生体内でグルカゴン陽性細胞が発生することが確認されており、グルコース負荷や低血糖に応答した生理的なインスリン分泌能を発揮することにより、移植後の糖尿病患者の病態コントロールに役立つことが期待されます。
膵島移植治療に用いるためには、大量の均一なサイズの細胞凝集塊(クラスター)が求められます。そこで同社では東洋製罐グループホールディングスやT-CiRAと共同して閉鎖系で均一なサイズのクラスターを大量に作製できる新たな細胞培養容器として、マイクロウェル培養バックを開発しています。この培養バッグは底面に備えられたマイクロウェル内で均一なクラスターが形成され、バッグ培養により大量かつ閉鎖的な培養が可能となっています。
さらに佐竹マルチミクス株式会社と共同して、、自動制御による灌流培地交換が可能な高効率連続培養シングルユースシステム(VMF-SUB/TCSシステム)を開発しています。
オリヅルセラピューティクス社では、このほかにぺプチグロース株式会社と細胞培養に使用する成長因子・サイトカインを代替するペプチドの共同開発、株式会社セルファイバとiPS細胞の大量培養に関する試験委託を行っています。
プラットフォームイノベーション事業
最先端のiPS細胞技術およびその周辺技術を利活用することで、新たな創薬アプローチによる画期的医薬品の創出を支援するとともに、iPS細胞製品をより安価に、また、より安定的に提供するための再生医療研究基盤を整備する事業です。
①iPS細胞に関連する創薬支援サービス
Axcelead Drug Discovery Partners株式会社とiPS細胞に関連する創薬支援サービスに関する協業を進めています。Axcelead社はオリヅルセラピューティクス社と同様に武田薬品からスピンアウトして設立された企業であり、非臨床創薬研究サービスを提供しています。オリヅルセラピューティクス社のiPS細胞からの分化誘導技術とAxcelead社のスクリーニング、薬効、安全性評価などの創薬支援サービスが連携することで、より確度の高い創薬研究への貢献を目指しています。
②iPS細胞関連技術を用いた創薬研究、再生医療関連の研究委託サービス
株式会社テクノプロの社内カンパニーであるテクノプロ・R&D社とiPS細胞関連技術を用いた創薬研究、再生医療関連の研究委託サービスに関する業務提携を行っています。テクノプロ・R&D社は研究者派遣、受託研究、技術コンサルティングなどのソリューションを提供する企業であり、オリヅルセラピューティクス社のiPS細胞技術(iPS細胞の分化誘導技術と各種解析技術など)と連携することでiPS細胞技術の社会へのさらなる浸透と創薬研究や再生医療研究領域における利用促進を目指します。