〇樹状細胞ワクチン療法を中心としたがん免疫療法の研究開発および医療機関への提供を行う企業
〇樹状細胞ワクチンの再生医療等製品の開発も進行中
〇2019年に自社細胞培養加工施設を設置し、製造受託事業を開始
会社名 | テラ株式会社 tella, Inc. |
所在地 | 東京都新宿区西新宿7丁目22-36 三井花桐ビル1階 |
代表者 | 代表取締役社長 平 智之 |
設立 | 2004年6月24日 |
上場 | 2009年3月26日 JASDAQ (2191) |
【会社概要】
2004年に東京大学医科学研究所発のベンチャーとして設立され、樹状細胞ワクチン療法を中心としたがん免疫療法の研究開発および医療機関への提供を行っています。2009年にJASDAQ市場に上場しています。
樹状細胞ワクチンの再生医療等製品の開発も進められており、また、2019年より製造受託事業も開始しています。
社名のテラ(tella)は、「tera: 兆」、「tell: 伝える(発信する)」、「terra: 地球(グローバル)」の三つの言葉が語源となっており、「人体を構成する60兆個の細胞を科学する企業」、「世界に向けて発信する、グローバルなヘルスケア企業」という意味が込められており、自ら創造する企業でありたいという意思が込められています。
【事業内容】
樹状細胞ワクチン療法
樹状細胞ワクチン療法とは、患者血液中から取り出した単球を体外で樹状細胞に分化させ、がん抗原を加え細胞培養することで抗原提示能を誘導した後に患者体内に戻すことで、抗がん作用を得る治療法です。
テラ社はそのがん抗原として、大阪大学の杉山治夫教授が開発したWT1ペプチドを用いていることが特徴です。WT1は多くのがんにおいて発現が見られるタンパクで、特にがん抗原として有効な部位をWT1ペプチドとしてがん抗原に用いています。
同社の樹状細胞ワクチン療法は、2019年6月の時点で国内28ヶ所の医療機関で提供されており、これまでに12,000例を超える実績があります。WT1が多くのがんにおいて発現していることから、幅広いがんに対して症例実績があります。
また2018年9月にVectorite Biomedical Inc.(台湾)と提携し、治療用免疫細胞加工の技術移転を行っています。テラ社は、台湾の医師への情報提供等のサポートを行い、細胞加工件数に応じたロイヤリティを受け取ります。
細胞加工製造受託
同社は、細胞培養施設をもつ医療機関に対しての免疫細胞培養技術・ノウハウ提供を主事業としていましたが、事業拡大に向けて2018年に製造受託事業への参入を計画し、京都市内に自社細胞培養加工施設を設置しました。同施設は2019年3月に特定細胞加工物製造許可を取得し(施設番号:FA5180002)、同施設の稼働開始に伴い受託事業を開始しています。
主な受託メニュー
①ハイグレード樹状細胞(DC)
②活性化リンパ球(LAK)
③ナチュラルキラー(NK)細胞
主な受託実績
慶應義塾大学:腫瘍浸潤Tリンパ球(TIL)
株式会社 理研免疫再生医学:NKT細胞標的治療のための樹状細胞
研究開発
①樹状細胞ワクチンTLP0-001
100%子会社であるテラファーマ株式会社において、再生医療等製品としての樹状細胞ワクチン(開発コード:TLP0-001)の開発が進められています。
和歌山県立医科大学と提携し、標準療法不応の進行膵癌を対象疾患とした医師主導第III相臨床試験が2017年より開始されました。2018年12月の中間解析において樹状細胞ワクチンの安全性が確認され、現在(2019年9月現在)、複数の医療機関での有効性検証が準備中です。2022年の承認申請を目指しています。
【テラファーマ株式会社について】
テラ株式会社の100%子会社として2014年に設立されました(本社 東京都新宿区)。
川崎スカイフロント地区のライフイノベーションセンター内に製造施設を設置しており、治験用の樹状細胞ワクチンを製造しています。
②新規がん抗原
樹状細胞ワクチン治療において重要ながん抗原について、以下のがん抗原の開発が進められています。
– サーバイビンペプチド:がん細胞のアポトーシスを抑制するタンパクで、幅広いがんに特異的に高発現しています。
– MAGE-A4ペプチド:メラノーマより発見されたがん抗原です。MEGAファミリーの中でも、がん抗原特異的免疫反応を誘導できるペプチドとしてMEGA-A4ペプチドが北海道大学で開発されました。
– 腹水由来がん細胞抗原:九州大学と共同で、腹水中から高純度のがん細胞を回収する技術を開発しています。この回収されたがん細胞を樹状細胞ワクチンの抗原として利用する研究を進めています。