2024/10/26 改訂
〇遺伝子導入脂肪細胞(GMAC)による遺伝子治療の開発を行う、千葉大学発のバイオベンチャー
〇家族性LCAT欠損症を対象とした臨床試験において安全性、有効性を確認
〇ファブリー病,血友病Aなど対する治療法も研究開発中
会社名 | セルジェンテック株式会社 CellGenTech., Inc. |
所在地 | 本社/ラボ:千葉県千葉市中央区亥鼻1-8-15 千葉大亥鼻イノベーションプラザ101 東京オフィス:東京都中央区日本橋堀留町1-9-10 日本橋ライフサイエンスビルディング7 8F |
代表者 | 代表取締役社長 麻生 雅是 |
設立 | 2003年10月20日 |
上場 | 非上場 |
【企業理念/ミッション】
【会社概要】
遺伝子導入脂肪細胞(GMAC)による遺伝子治療の開発を行う千葉大学発のバイオベンチャーです。
家族性LCAT欠損症を対象としたLCAT遺伝子導入脂肪細胞の自家移植治療の開発を進めており、臨床試験において安全性と有効性が確認されています。
また杏林製薬を共同でファブリー病の治療法の開発、日本医療研究開発機構(AMED)の助成の元、血友病Aに対するGMACの開発を進めています。
【事業内容】
コア技術:遺伝子治療用脂肪細胞
セルジェンテック社は、先天的な遺伝性疾患に対して、欠損遺伝子を導入した脂肪細胞(GMAC; Genetically Modified Adipocyte)移植による治療法の開発を行っています。
脂肪細胞を用いるメリットとして、
①体内での細胞のライフスパンが約10年と長い
②がん化する可能性が低い
③分泌能力が高い
ことが挙げられます。
患者自身から採取した脂肪細胞を培養し、治療用遺伝子を導入後、目的のタンパクを分泌する脂肪細胞を移植する、自家GMAC移植治療法の開発を進めています。
再生医療開発
①家族性LCAT欠損症
LCAT(レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ)は、コレステロールのエステル化に重要な酵素です。血液中のコレステロールは、LCATによりエステル化されることで高比重リポ蛋白(HDL)と結合し、肝臓に送られ代謝されます。
家族性LCAT欠損症は、先天的なLCAT遺伝子の異常によりLCATが欠損、もしくは活性低下しており、その結果血液中のコレステロールが処理されず蓄積し、角膜混濁,腎機能障害,溶結性貧血を生じる疾患です。日本国内に約100人の患者がいるとされています。厚生労働省により難病指定されており(告示番号259/通し番号 192:レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ欠損症)、現在のところ有効な治療法はありません。
セルジェンテック社は、千葉大学病院 糖尿病・代謝・内分泌内科の横手幸太郎 教授と共同で、2017年に家族性LCAT欠損症を対象とした臨床試験を実施しています。
LCAT-GMACを移植後6ヶ月間の観察の結果、安全性が確認され、また脂質代謝の改善が示唆されています。さらにその後の追跡調査の結果、移植により血清中のLCAT活性が約50%増加し、それに伴い遊離コレステロールのレベルが減少し、それらの効果は3年間にわたって維持されることが示されました(Aso et al., Heliyon 8 (2022) e11271)。
LCAT-GMACの開発について、ダイドーファーマ株式会社とライセンス契約を締結しています。
また、LCAT-GMACを含め、再生医療等製品としてのGMACの製造は藤森工業が受託します。
②その他の疾患
同じく難病指定疾患であるライソゾーム病(告示番号19/通し番号 108)のひとつであるファブリー病や、血友病Aに対する治療開発を進めています。
ファブリー病はライソゾーム加水分解酵素の一種である α-ガラクトシダーゼAをコードする遺伝子の変異が原因で発症し、四肢末端痛、発汗障害、被角血管腫、進行性腎障害、心肥大などが起こる先天性の疾患です。40,000人に1人の割合で起こるとされています。
同社は、杏林製薬と共同で、ファブリー病に対するGMACの開発を進めています。
血友病Aは血液凝固第Ⅷ因子遺伝子の異常により起こる先天性の血液凝固障害症であり、国内の患者数は約5,000人とされています。同社は日本医療研究開発機構(AMED)の助成の元、血友病Aに対するGMACの開発を進めています。