〇大阪大学 澤芳樹教授らの開発した、他家iPS細胞由来心筋細胞シートの実用化を行うベンチャー
〇虚血性心筋症を対象とした第I相臨床試験の実施が承認
〇第一三共およびテルモと共同開発を実施
会社名 | クオリプス株式会社 Cuorips Inc. |
所在地 | 本社: 東京都中央区日本橋本町3-11-5 日本橋ライフサイエンスビルディング2 507 大阪ラボ: 大阪府吹田市山田丘1-3 生命システム棟5F E503 |
代表者 | 代表取締役社長 飯野 直子 |
設立 | 2017年3月21日 |
上場 | 非上場 |
【会社概要】
iPS細胞由来心筋シートを用いた心不全治療の開発を行うベンチャーです。大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科学の澤芳樹 教授らの研究成果の実用化を目的に、澤教授を始めとする大阪大学の研究者、大阪大学発ベンチャーのセルキューブ、投資ファンドのデフタパートナーズの共同出資の元、設立されました。2017年8月に 第一三共株式会社と出資および販売オプション契約、さらに同年10月に共同開発契約を締結しています。また2018年7月にテルモより出資を受け、共同して開発が進められています。2020年1月に臨床試験第1例目となる移植を完了しており、2022年の実用化を目指しています。
社名は、心臓を意味するイタリア語の「Cuore」と「iPS」細胞を組み合わせた造語に由来しています。
【事業内容】
iPS細胞由来心筋シート
クオリプス社は、大阪大学の澤 教授らが開発した他家iPS細胞由来心筋シートの開発を進めています。
他家iPS細胞由来心筋シートを用いた臨床試験計画は、2018年5月に厚生労働省より条件付き承認を受けており、 現在、虚血性心筋症を対象とした第I相臨床試験(医師主導治験)が、大阪大学病院で進められており、2020年1月に第1例目の移植が行われました。クリオプス社は、研究資金等の提供組織として同臨床試験に参画しています。
再生医療等製品「ハートシート」との違い
重症心不全を対象とした再生医療等製品として、ハートシート®がテルモ株式会社から販売(条件及び期限付)されています。ハートシート®は自家骨格筋由来細胞シートですが、その作用機序としては、骨格筋が心筋に代わって拍動して働くわけではなく、ハートシート®から放出されたサイトカインにより、血管新生や細胞の保護、幹細胞の集積が起こり、患者の心組織の回復が起こるというものです。
したがって、心不全が重症化し心筋細胞の多くが死んでしまっているような状況では、効果を得られないという問題点がありました。また、自家由来細胞のため、患者自身の骨格筋細胞を採取し細胞シートを作成するまで時間がかかることも問題となっていました。
そこで、骨格筋細胞ではなく、心筋そのものの細胞シートを心不全治療に適用することを目的に、澤教授らとクオリプス社は、他家iPS細胞由来心筋細胞シートの開発を進めています。iPS細胞由来心筋細胞シートを用いることで、拍動する心筋機能が得られるとともに、iPS細胞由来心筋細胞をストックしておくことで、必要に応じて迅速な提供が可能になることが期待されています。