再生医療等製品

再生医療等製品#12 オキュラル

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販売名オキュラル®
一般的名称ヒト(自己)口腔粘膜由来上皮細胞シート
製造販売業者 販売業者株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング
株式会社ニデック
対象疾患角膜上皮幹細胞疲弊症
承認日/保険収載日2021年6月11日/2021年12月1日
保険償還価格組織運搬セット 4,280,000円
培養角膜上皮パッケージ 5,470,000円
(再生医療等製品の保険適用について)
関連文書添付文書 (PMDAウェブサイト)
審査報告書 (PMDAウェブサイト)
申請資料概要 (PMDAウェブサイト)

 

【製品概要】

ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング オキュラル情報ページ

ニデック オキュラル情報ページ

オキュラル®は角膜上皮幹細胞疲弊症治療を目的とした自家培養口腔粘膜上皮細胞シートです。大阪大学大学院医学系研究科 眼科学の西田幸二教授らが開発した技術を基に、株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-Tec)が製造販売承認を取得しています。

角膜上皮幹細胞が消失することで角膜の透明性が失われ、視力の低下や眼痛などを生じる角膜上皮幹細胞疲弊症の患者に対して、患者自身の口腔粘膜組織を採取し、そこから分離した口腔粘膜上皮細胞を培養,形成した口腔粘膜上皮細胞シートを患部へと移植することで、角膜上皮が修復され症状を改善します。

同様の再生医療等製品として、同じくJ-Tec社のネピックがあります。ネピックは患者由来の培養角膜細胞シートである点が異なり、またネピックの適応対象外の患者の治療も可能となっています。

J-Tec社が製造販売承認を取得し、販売は眼科医療機器メーカーである株式会社ニデックが行います。J-Tec社は、ジェイスジャックネピックに続く4つめの再生医療等製品の承認となります。

 

【対象疾患と作用メカニズム】

 対象疾患

適応対象疾患は角膜上皮幹細胞疲弊症です。角膜上皮幹細胞疲弊症は、角膜と結膜の境界にある角膜輪部に存在する角膜上皮幹細胞が先天的もしくは後天的に減少または消失する疾患です。新たな角膜上皮細胞を角膜に供給できず、その結果、周囲の結膜上皮が角膜上に侵入し角膜表面を覆うことで、角膜の透明性が失われ、視力の低下や眼痛などを生じます。発症の原因としては、熱傷や化学傷等の外部要因、スティーヴンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡等の内部要因があります。
角膜上皮幹細胞疲弊症は、結膜化の状況によりステージI、IIAおよびB、IIIに分類されます。このうちステージIIA、IIB、およびIIIがオキュラルの適応対象となります。

オキュラルの適応対象 (出典:株式会社ニデック オキュラル情報サイト)

ネピックではスティーヴンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡、移植片対宿主病、無虹彩症等の先天的に角膜上皮幹細胞に形成異常を来す疾患、再発翼状片、特発性の角膜上皮幹細胞疲弊症は適応対象外となっていますが、オキュラルではこれらの疾患にも適応可能となっています。

 

治療の流れ

オキュラルの治療の流れ (出典:株式会社ニデック オキュラル情報サイト)

患者の口腔粘膜組織を採取し、J-Tec社の細胞製造施設において口腔粘膜上皮細胞を分離・培養することで口腔粘膜上皮細胞シートを作製します。移植手術においては、角膜に侵入した結膜組織を除去し、そこにオキュラルを移植することで、角膜上皮が修復され症状を改善します。

口腔粘膜上皮細胞シートおよび培養口腔粘膜上皮容器 (出典:株式会社ニデック オキュラル情報サイト およびオキュラル添付文書)

 

【承認条件】

オキュラルの治験症例数としては、医師主導治験6例、企業治験6例のみですが、通常承認であり条件及び期限付承認ではありません。ただし、承認条件として下記の条件が付いています。

1. 角膜上皮幹細胞疲弊症に関連する十分な知識及び経験を有する医師が、本品の使用方法に関する技能や手技に伴う合併症等の知識を十分に習得した上で、角膜上幹細胞疲弊症の治療に係る体制が整った医療機関において「」効能、効果または性能」並びに「用法及び容量又は使用方法」を遵守して本品を用いるよう、関連学会との協力により作成された適正使用指針の周知、講習の実施等、必要な措置を講ずること。

2. 治験症例が極めて限られていることから、原則として再審査期間が終了するまでの間、全症例を対象に使用の成績に関する調査を実施することにより、本品使用患者の背景情報を把握するとともに、本品の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本品の適正使用に必要な措置を講ずること。

3. 本品の製造過程にフィーダー細胞として用いられているマウス胎児由来3T3-J2細胞にかかる異種移植に伴うリスクを踏まえ、最終製品のサンプル及び使用に関する記録を30年間保存するなど適切な取扱いが行われるような必要な措置を講ずること。

 

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