再生医療ベンチャー

再生医療ベンチャー#67 アエラスバイオ

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〇歯髄幹細胞を用いた歯髄再生医療の開発・提供を行う企業

〇2020年6月よりRD歯科クリニックと連携し、歯髄再生医療の提供を開始

〇歯髄幹細胞バンク事業、他家細胞移植、医科分野への適用拡大も計画

 

【会社情報】

会社名アエラスバイオ株式会社
Aeras Bio Inc.
所在地兵庫県神戸市中央区港島南町1丁目3番地1
 (国際くらしの医療館・神戸2階)
代表者代表取締役社長 菊地耕三
設立2018年8月1日
上場非上場

 

【会社概要】

歯髄幹細胞を活用した歯髄再生医療や歯髄バンク事業を進める企業です。自己の親知らず等から採取・培養した歯髄幹細胞を、虫歯で神経を失った歯に移植することで歯髄を再生する治療をRD歯科クリニックと連携して提供しています。大手ガスメーカーのエア・ウォーターの歯髄関連事業の子会社として設立されました。

社名の由来はラテン語で”空気”を意味し、” 空気のように当たり前に存在し、けれどもなくてはならない存在としてそこに在り続け、みなさまの生活に密着した“くらしの医療”である口腔の健康を通じて、身近な暮らしと社会に貢献していくことを目指す”という意味が込められています。

 

【事業内容】

歯髄再生医療

①歯髄とは

歯の内部構造 (出典:アエラスバイオ株式会社ウェブサイト 細胞の受託製造より一部改変)

歯髄は歯の内部の神経や血管,リンパ球などを含む組織で、いわゆる”歯の神経”と呼ばれる部位です。虫歯が進行しこの歯髄まで到達した場合、それ以上の虫歯の進行を防ぎ、また痛みを取り除くために歯の神経を抜く治療(抜髄)が必要となります。しかしながら、血管等も同時に取り除いてしまうことで歯に酸素や栄養補給がなされないため、歯は死んだ状態(失活歯)となり強度が低下し脆くなったり、免疫細胞がいなくなることで最近に対する防御反応がなくなること、また神経が無くなることで再度虫歯になっても痛みが出ず、かなり進行するまで気づかず処置が遅れるといった問題があります。

 

②歯髄再生医療

(出典:エア・ウォーター株式会社 2020年6月26日プレスリリース)

同社の歯髄再生医療は、培養した歯髄幹細胞を抜髄した歯に移植することで、歯髄の再生を誘導します。患者本人の智歯(親知らず)や乳歯などの不要歯を抜歯し、同社の歯髄培養センター(2019年10月 特定細胞加工物製造許可取得,施設番号:FA5190002)で歯髄を採取し、1ヶ月程度培養します。培養した細胞をRD歯科クリニックに輸送し、サイトカイン(G-CSF)およびコラーゲンと共に抜髄部位に移植します。移植後1ヶ月程度で歯髄が再生され、続いて6ヶ月~1年ほどで象牙質が再生されます(ただし、歯表面のエナメル質は再生されません)。再生メカニズムとしては、歯髄幹細胞が分泌するサイトカインにより歯の周囲組織から幹細胞が集積し、血管や神経が再生されると考えられています。

この歯髄再生医療は、国立長寿医療研究センター研究所 幹細胞再生医療研究部の中島美砂子 部長(当時)らにより臨床試験が行われ、安全性と有効性が検証されています。2020年6月に再生医療等提供計画が受理され、中島氏が院長を務めるRD歯科クリニックにおいて治療の提供を開始しています。なお、RDは” Regenerative Dentistry (再生歯科)”を意味しています。

今後は、国内の歯科クリニックを中心に歯髄再生医療の普及を進めるとともに、歯髄幹細胞バンク事業の立ち上げが計画されています。また、2親等以内の親族の歯髄幹細胞を用いた他家移植治療や、医科分野(脳梗塞等)への適用拡大に向けた研究・開発も進められています。

 

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